【19.09.01】クローズアップ会員企業訪問(25)
理念に基づき新たに宿泊事業に挑戦
株式会社エクスプレッションズ
専務取締役 高柳 俊也 会員
(株)エクスプレッションズは、2002年に翻訳・通訳を主体とした会社として設立しました。国際化が進む日本で外国人が見ても違和感のない翻訳・通訳を手掛けるため、ネイティブの翻訳者と契約し、自社の付加価値としています。驚くのは、その翻訳者の数です。今では約500名の翻訳者と契約し、英語・中国語をメインに15か国語以上を手掛けています。契約している翻訳者の中には、実際に顔を合わせたことのない方も多く、契約時には、その方が翻訳された文章や仕事に対する姿勢などを選考の基準にしています。最も重視していることは、翻訳を依頼される取引先との信頼関係です。
翻訳や通訳の仕事を続けていく中で、時代は徐々にインバウンドが注目されてきました。そこで、もともと旅行好きだった高柳会員は、簡易宿所の運営という新たな試みに挑戦します。その際に判断基準になったのが、経営理念である「社会の国際的な発展に貢献する」という精神と、WANT(面白い)・CAN(外国語を話せる)・MUST(正しい)の3つのトライアングルからなる想いでした。
宿泊事業は、2017年に同友会の仲間の力を借り本格的にスタートしました。外国人旅行客が快適に旅行できる拠点を生み出し、より金沢の魅力に触れてもらえるよう翻訳会社の立場からサポートし、現在までに6軒の運営を行っています。一見すると、翻訳会社がなぜ簡易宿所をするのかと疑問に感じますが、そこには自社の理念に基づく想いがあったのです。
時代の流れと共に、翻訳・通訳もAI化が更に進めば仕事量は減る可能性があります。だからこそインバウンドに力を注ぎたいと考えています。
今後は酒ツアーなどのアクティビティを自社で企画・運営し、外国人観光客が楽しめることに挑戦していきたいという胸のうちを語ってくれました。
「日本人と外国人が今以上に垣根なく気軽に交流できる場を創出することが、今後のビジョンです」と語る姿に静かながらも沸々と湧き上がる情熱を感じる取材でした。