委員会活動

【08.11.18】経営者フォーラム<第3分科会:メンタルヘルス>

「経営者にとっての企業のメンタルヘルス」~心の健康は良い経営と業績成果を導く~

  講師:岸 弘市 氏(岸アートライフ研究所・主宰/石川産業保健推進センター・カウンセリング担当相談員)
座長:藤弥 一司 会員 ㈱丸藤 社長

■自殺者が三万人超
 職場におけるメンタルヘルス(心の健康)が重要視される時代になった。なぜ重要視されるのか。企業経営の厳しい環境、強いストレス社会となり、労働者の六割がストレスを感じているという調査結果がある。原因は職場の人間関係、長時間労働、仕事の質、会社の将来性に対する不安だ。自殺者が三万人を超える今日、膨大な数の人々が心の悩み、病を抱えている。大企業の中には会社が労災以外に民事訴訟で訴えられるケースが出てきたが、中小企業でも起こり得ることが懸念されている。社員が健康な心の状態で働くことが健全な経営に必要なことであり、メンタルヘルスは会社の基盤づくりの一つだ。危機管理の視点に立つことも大切である。メンタルヘルスを良くすることは、よりよい人生を生きる事と考えるべきで、心の健康を保たれる人が多く勤めている会社・職場は業績を高めているようだ。
■経営者の心のケアを
 経営者の心のケアはどうだろうか。厚生労働省は労働者のメンタルヘルスの事ばかりで肝心な経営者には触れていない。働く人の中には経営者も含まれる。メンタルヘルスケアは継続的かつ計画的に行われることが企業経営では重
要で四つのケアが求められている。
 第一に、心のセルフケアである。労働者自らがストレスと上手く付き合うことが大切である。疲れた時には休養をとることが先ず必要だ。多忙なスケジュールの中、朝風呂に入り上手くストレスを解消している経営者もいる。自らがストレスに気づき対処することが必要だろう。
■ケ・チ・ナ・ノ・ミ・ヤ配慮
 二つ目に、ラインによるケア。実務において指揮命令系統の上位者によるケアを行う仕組みで、職場の具体的な課題(仕事の質・量・環境・個々の問題)を管理監督者が配慮・把握していく。いつもと違う社員の様子に気づく感性も必要だ。
 「ケチナノミヤ」を参考にして欲しい。ケ=欠勤が増える、チ=遅刻・早退が増える、ナ=泣き言を言う(否定的な言動)、ノ=能率が下がる、ミ=ミスや事故が増える、ヤ=やめたいと言う。こういうサインをラインの中でキャッチする事が大切だ。
 三つ目は事業場内産業保健スタッフによるケア。産業医や衛生管理者による教育研修や相談体制などをいう。
 四つ目は事業場外資源によるケア。石川産業保健推進センターを活用するなど悩まずに相談して欲しい。そして、いずれのケースも周りが気づき声を掛け良く聴いてあげる(傾聴)ことが大切、忘れてならないことは素人判断をしないことだ。
■承認と尊敬の欲求に応え
 心のケアは良き人間関係、良きコミュニケーションに支えられる。経営者には人の心を理解する人間力が求められる。心理学者マズローの「欲求の五段階説」の中で最も大切な項目に「承認と尊敬の欲求」がある。人は認められたい、褒められたいという欲求がある。相手を認め、良い点を褒めてあげることが良い人間関係をつくる基本である。聴く技法を身につけることも大切である。例えば、夫婦で海外旅行に行った時、どんな事があっても「そうね」と笑って言いあうことを約束した期間があった。約束した以上、事ある毎に「そうね」と答える。これは心理学のセオリーに適っていたらしく不思議と喧嘩をしなくなった。わがままを言えない他人とならば更に上手くできるはずだ。うのみにするのではなく相手の言うことを聴く気になって聴くことが大切だ。
■会社を好きになる風土へ   
 職場では企業のトップがメンタルヘルスを重視する姿勢を示すことが大切。会社は経営理念、社訓、社是といった何らかのメッセージを打ち出しているはず。経営者は社員を大事にするという視点で社員の心の健康にも力を注ぎ、何らかの形でメンタルヘルスに関する事項を成文化すべき時期にきていると思う。
 安全衛生委員会を作るなど職場内での役割分担を決めて仕組みの中で実践することがあったらよい。効果は直ぐには出なくても、自らが主管となってメンタルヘルスも大切だという姿勢を打ち出すことを時代が求めている。
 仕事が楽しく目標が明確で信頼感が生まれる社風を創り出すのは経営者の責任である。風通しの良い職場を創造していただきたい。「社員が会社を好きになる」風土創りのために、良いコミュニケーションができる職場環境を維持してほしい。先ず経営者自身から心の健康を勝ち取り幸せを掴んで欲しいと願う。
●講師のまとめ●
 この分科会で気づいたということが大切、解決できなければ産業医や石川産業保健推進センターに相談するとよいでしょう。心の健康に不安が生じても、相手に対してレッテルを貼ってはいけません。相手を変えるのではなく自分が変わることが必要でしょう。白紙の心で聴くことが大切。みんなが心を通わせれば、一足す一は無限大です。
●座長のまとめ●
 社員の心の叫びを経営者は感じ取って行かねばと思う。「コミュニケーションは良い聴き方で」という気持ちを忘れずに取り組みたい。社長が変わらなければ社員は変わらない。これを機にメンタルヘルスに気配りしながら経営して行きたい。皆さんも分科会での学びと気づきを明日からの経営に役立てて下さい。

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