【15.09.01】「同友会の学びを活かして」(4)
企業理念実現のための舞台が完成
㈱水上商会 代表取締役社長
水上 博司 会員
液化石油ガス(LPガス)の販売を基幹事業として、現在は住宅リフォームや、上下水道など水廻りの管工事も手がける。
石川同友会への入会は二〇一〇年。その前年、所属していたLPガスの協会で偶然居合わせた松永日出男会員と名刺交換した際に、名刺に記されていた「石川県中小企業家同友会」の文字が目に留まった。当時、LPガス協会以外に経済・商工団体には所属していなかったことから強い関心を持ち、はくさん支部(現在は合併し金沢城南支部)例会にゲスト参加。熱のこもった報告や闊達な意見交換を目の当たりにし、「自分にないものがここにはある」と石川同友会に正式入会した。
入会後、大きな気づきがあった。自社や自身に「理念がないからその場しのぎになる」との反省だ。翌一一年に経営指針成文化講座を受講した。しかし、出来上がった指針は「経営者がこうしたいから、社員はこうしなさい」という一方的で独りよがりな内容だったと振り返る。
一二年には講座の座長も務めた。目の前にいる受講者は、いわば前年の自分であり、経営者として自分に足りているもの、不足しているものを指導役となることで客観的にとらえることができたという。
この一二年には、専務から社長に就任した。「責任をすべて引き受ける覚悟がないといけない」と、当時社長だった父親(現会長)にかけあい、経営承継を果たした。年度ごとの経営指針もこの年から社員とともに策定に取り組んでいる。
また、今年七月、新社屋を建設し、地域交流の拠点となるわくわく幸せ工房「COTO×COTO」(コトコト)をオープンした。掲げる企業理念の中に、「地域社会に対し物心両面で貢献し、勇気を与えるとともに社員にとって誇らしい会社になります」との一節がある。これを具現化するためのステージが出来た格好だ。地域住民からは「わしらの遊び場ができた」と期待の声も寄せられている。
建設中に「ショールームを建てるのか?」と聞かれることも多かったそうだが、「モノを並べる気は毛頭なかった。地域の人たちがいろんなことに取り組み、人と人の関係をじっくりコトコト煮込む場所にしたい」と、工房の名に込めた思いを明かす。