【17.09.01】クローズアップ会員企業紹介(1)
感動を記録し、届ける喜びをさらに!
石川同友会では400人を超える中小企業経営者が会内での活動や交流、学びの機会を活かして、よりよい経営の実現を目指しています。そうした会員の自社での取り組みや事業を新シリーズで紹介していきます。今回は、金沢城南支部の宮野晃会員です。
株式会社エム.ビデオプロダクション
代表取締役社長 宮野 晃 会員
宮野会員は2002年に石川同友会に入会し、会歴は15年です。エム.ビデオプロダクションの創業者は宮野会員の父親で、会社を立ち上げたのはバブル絶頂期の1989年。しかし、経営はなかなか軌道に乗らず、3年後の92年、宮野会員が外食チェーンから転職して入社しました。しかも、まだ30代前半
だった95年に社長に就任しました。
宮野会員は営業に力を注ぎ、婚礼衣裳のレンタルやオリジナルウェディングの企画を当時手がけていた会社から目をかけてもらえるようになったことで、会社は成長軌道を描けるようになりました。無論、目をかけられるようになったのには理由があります。エム. ビデオプロダクションがブライダルの世界に、ある革新を持ち込んだことが高く評価されたのです。
近年の結婚披露宴で、半ば定番となっている映像演出があります。披露宴会場のスクリーンに映し出される「エンディングムービー」です。式当日の映像を披露宴の途中まで収録し、短時間で編集。映画のエンドロールのように流す演出は、実は全国に先駆けてエム.ビデオプロダクションが始め、業界に巨大な市場を生み出しました。「01年にあるカップルから結婚式の模様を撮影して、披露宴の最後に上映してほしいとオーダーいただいたのがきっかけです。式場から会社に戻り、正味1時間半で編集作業を終えるのは至難の技で、最初はお断りしました。ところが、『失敗してもいい。ぜひ』と再度要望され、チャレンジしました。なんとか間に合わせることができ、ほっとしていたところ、ムービーの終了と同時に会場が大きな拍手に包まれ、感動で鳥肌が立ちました」(宮野会員)。
エム.ビデオプロダクションでは、TV局報道の撮影取材も手がけ、ブライダルの撮影だけが本業ではありませんが、モチベーションの原点がここにあるのは確かです。宮野会員は2年前に石川同友会の「経営指針成文化講座」を受講し、「私達はいつもお客様の想像をはるかに超えるムービー創作に挑戦します」とのフレーズを入れた経営理念を掲げました。
さらに、理念の実現には社員の協力が不可欠なことから、「社員と経営者の共育塾」に自身とスタッフ数人で参加しました。初めて共育塾に参加して帰社する車中で、社内での理念唱和を嫌がっていた社員が「社長、経営理念を朝礼で唱和しませんか」と切り出し、宮野会員は驚きました。
「これまで社長に言われても納得できなかったことが今日、他の会社の社員さんと交流する中で、素直にのみ込めました。他の会社の社員さん達はこんなに勉強しているんだ。自分も頑張ろうと思いました」とスタッフは話したそうです。
「共育塾」への参加によって社内の空気も変化。営業、商品開発などもスムーズに進み、業績の向上に結びつきました。宮野会員は「社員一同、地域や社会から必要とされるよう自己変革に取り組んでいきたい」と手応えを語っています。