【12.12.18】北金沢支部・金沢駅西支部12月合同例会
経営者は会社の将来を考えるのが仕事
報告者:魏 賢任 会員 ㈱菜香樓 社長
例会テーマ:「学びの中の気付き」~菜香樓16年の歩みと経営スタイルの変化~
留学生時代は横浜の聘珍樓でアルバイトをしていた。金沢に来て3年間繊維会社に勤め、1996年、食中毒O157が多発した時に、食堂で何気なく耳にした「中華だったら安全安心―」という言葉で店を持とうと思った。金沢は本格的な中華料理店がないが、横浜だと一件あっても無くても何も変わらないという考えから金沢での出店に拘った。
1996年12月に本館をオープンした。オープン当初は疲れ知らずで、苦労もなく右肩上がりだった。3年後に新館をオープンし、その頃同友会に入会。ある例会で「経営者は後継者を育てることが仕事だ」と言われ右腕育てを実践した。誰も明日の命は分からない。しかし会社は永続しなければならないという想いから3年前に息子に自分の遺言を渡した。
2007年大連店をオープンしたが翌年からのリーマンショックの影響もあり、2009年2月に閉店を余儀なくされた。撤退には大きな決断と勇気がいる。大きな損失だったが、ある先生から「泥沼にはまって大事な靴を守るために命を取られるのか、靴を捨てるのか」と言われ決断した。
創業後4年~8年くらいの間は日本式経営ともいえる「率先垂範」を実践した。トップの背中を見せることはとても大事だが、全て自分でしてしまい、幹部が育たなかった。その後2003年にISOを取得し、成果主義を取り入れた。これは一つ間違うとやらない人は傍観者になり、派閥ができたりしてうまくいかない。中国出店の失敗で、中国の国学(伝統的な思考)を学ぶことができた。「不易流行」もその一つ。ある先生と出会い「あなたは経営者の資格がない。トップは将来に生きる、幹部は現在に生きる、新入社員は過去に生きる」と言われた。経営者は会社の将来を考え、幹部は現が付く現場の仕事をして、新入社員やアルバイトには過去の経験を教えるということだ。
4年前から一件一件の店、一人一人、一つ一つの時間帯で利益を出せば足して必ずプラスになるという訓練をしている。また、今年から、12か月オールボーナスという真の成果主義で、売上、効率、原価率などを店毎に算出し、一定の基準を越えたら店単位でボーナスを支給している。日本式の経営から欧米式を加え中国式をプラスして、今は更に仏教を勉強している。会社や店を「極楽」に例え、感謝し合い質を追求するという仏教の考えを経営に活かしていきたい。