【23.01.26】2023新春講演会&交歓会
3年ぶりのリアル開催、一堂に会する
2023年新春講演会&交歓会が3年ぶりに開催され、「挑戦」のテーマのもと、一堂に会しました。
橋本昌子代表理事は年頭のあいさつで、「常に問題を自分事で解決し、挑戦し続ける人だけが乗り越えられる大きな変化の時代。自社も地域も活性化できるように挑戦していきましょう」と述べました。
講演会は、浜野慶一氏が「東京・下町・町工場の挑戦!」と題して講演しました。交歓会では、大雪のため来場できなかった石川県立鶴来高等学校和太鼓部が、収録した映像で演奏を披露し、迫力ある太鼓のエールをもらいました。その後、卯年の年男年女10名を紹介し記念品を贈呈しました。
町工場だからできる 「ありがとう」といわれるものづくり
「東京・下町・町工場の挑戦」
講師:浜野 慶一 氏
(株)浜野製作所 代表取締役(東京同友会相談役)
■窮地で言われた「アンタと仕事がしたい」
同社は昭和43年6月、東京墨田区で浜野氏の父と母が量産部品の金属金型工場として創業しました。
浜野氏は、幼い頃から家の中でも激しい経営談義をする両親の姿が嫌で、サラリーマンになろうと就職活動をしていました。しかし父が目をキラキラさせて「ものづくりは誇り高い仕事だぞ」と話すのをみて、自分が表面的な部分しか見ていなかったことに気づきます。家を継ぐことを見据え、修行先へ就職します。
30歳のとき父が病死し浜野製作所へ入社しますが、2年後に母も他界、高齢の職人も離職してしまいます。修行時代の後輩が入社し2人で奮闘するも、今度は自宅兼工場がもらい火で全焼しました。お客様に迷惑をかけないためすぐに別の工場を借り仕事を再開しますが、さらに火災の保証をするはずだったメーカーが倒産してしまいます。途方に暮れ工場に戻ると、後輩がたった一人で焼け残った金型の錆取りをしていました。
「社長、俺は金が欲しいのではなくアンタと仕事がしたい、悪いけど浜野製作所はまだつぶれていないよ」。この時、社員に感謝をもって還元できる活力ある企業になろうと自社の目指すべき姿を見出し、これが町工場の社長としてやらなければいけないことだと覚悟を決めたと振り返ります。
■お客様から気づかされたものづくりへの誇り
またある日、「死ぬまでにもう一度、娘と手をつないで散歩をしたい」とリハビリ器具の製作を急遽お願いされ、徹夜で作り届けました。翌日届いたお礼のメールにあふれる感謝「ありがとう」の言葉が、昔父親が言っていた「ものづくりは誇り高い仕事」ということを強く実感させました。この出来事により事業構造変革がはじまります。
次第に「大企業では変えられない世界を変えられるのは浜野製作所だけだ」と若い転職者が集まりました。そもそも日本の中小企業の強みは、人と人との繋がりから新たな事業を生み出すこと。町工場だからできる、ありがとうと言われるものづくりに挑戦したいと熱く語りました。