【08.09.25】野々市に中小企業振興基本条例制定
中小企業振興促進で地域社会発展に寄与
6月の野々市町議会において『野々市町中小企業振興基本条例』が粟貴章町長より提出され、満場一致で可決成立し、7月1日より施行された。石川県内では初の制定となった。
条例は七条からなり、目的(第一条)では「町の産業において重要な地位を占める中小企業の振興に関する基本的事項を定め、その基盤の強化及び健全な発展を促進することにより、中小企業の振興を図り、もって活力ある地域社会の発展に寄与することを目的とする」とし、中小企業を重要な地位に位置づけた。基本方針(第三条)には、中小企業自らの創意工夫や自助努力と共に、町や町民が一体となって、国・県・関係機関との連携の下に施策を推進するとした。第四条には「町の責務」が盛り込まれ、中小企業の経営安定や中小企業振興に寄与する地域環境整備、並びに従事者の福利厚生の向上、人材育成、調査等、中小企業の振興に努めるとした。このほか「中小企業者等の責務」と「町民等の理解及び協力」が謳われ、第七条には「この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める」と委任の条項が盛り込まれ、柔軟な対応が可能なものとした。
町長の例会参加をきっかけに
制定の背景として、粟町長は昨年6月の就任時に、2010年の国勢調査で人口5万人突破と市制への移行を目指すことを掲げた。①子育て環境を整え、若い世帯の定住化促進を図る、②暮らしやすくて安全安心の町を目指す、③町内にある金沢工業大学、石川県立大学との連携で新産業の創造を支援する、④歴史や文化など野々市らしさの追求による産業振興をめざすなど、質の高い生活環境を提供し、町の魅力を高めていく中で、結果としての人口5万人、市制施行は住みやすい町を目指す中で一つのステップと位置づけた。魅力づくりをどう具体化するか構想を練っていた同時期に、北村隆会員(政策・異業種委員長)が憲章例会への参加を依頼し、同友会の「中小企業憲章」や「振興条例」制定運動を知る機会となった。その後、昨年9月の白山支部例会「あなたの会社が立ち直る」~中小企業憲章・地域(中小企業)振興基本条例とは~に参加し、岡田知弘氏(京都大学大学院・教授)の講演を聞きテーブル討論にも加わり、感想を求められる中で、条例制定に理解を示すと共に前向きに取り組むことを約束した。
粟町長は「中小企業支援策をどのように形にしていくか模索する中、今回の条例制定で要望に応えられる土台ができた、地元企業との十分な連携を図っていきたい」と意欲をみせた。