【15.03.01】「TakeOff!」~未来へ向かう羅針盤~(12)
内田清隆法律事務所 代表 内田 清隆 会員
常に理念に基づいて考え行動し「皆のもの」に
事務所内でのコミュニケーションがぎくしゃくし、殺伐とした雰囲気に悩んでいた。雰囲気が悪いとお客様にも迷惑がかかり、このままじゃいけないと感じた。自分の会社をどうしたいのか、将来の展望を文章に書き、それを所員に伝えるにはどうしたらよいのか悩んでいた頃、宗守会員が「得意げ」に経営指針について語っているのを聞いた。どうやって作るのか聞いたところ「同友会」と言われ入会、講座を受講した。
指針を発表した時、所員の反応は概ね良好に見えたので伝わったと思い込み満足していたが、半年後にあるセミナーで、所員が理念について聞かれ、一言も出てこなかったのを見て理念が浸透していないことに愕然とした。そこで、朝礼で何も見ずに理念を順番に言ってもらい間違えたら罰ゲームをしてゲーム感覚で、とりあえず理念は覚えてもらえた。
次に、理念が実現できているかを評価するチェックシートを作成し自己評価をしてもらい、ボーナス前に個人面談を行った。芳しい効果は感じなかったが、個人面談をすることはコミュニケーション改善にも良いと思い、年三回実施するようにした。また、理念にそって自分を振り返ってもらい所員にスピーチする機会を作った。更に、常に朝礼で理念について語るようにした。また、毎日必ず理念に基づいて褒めたり、注意したり、細かいことでも「サムライ魂から言ったらこのようにすればよいのでは?」というように理念に基づいて決めていくようにした。そうすると、他の所員も常に理念を口に出すようになっていった。
自分の想いで理念を作ったが、理念を成文化し浸透させるため、色々な手法を実行した。中には上手くいかないこともあり、すぐに効果が出るわけでもない。でも効果をチェックし手法を改善し、繰り返し実行した。最近は自分が理念に使われていると感じることがあった。というのは、自分が理念に反するような行動をした時に所員に注意されるという出来事が多くなったからである。その経験から、理念が皆のものになっていることに気がついた。
最近のことだが、方針から個人が何をするかを考え、毎月一つずつ出してもらい月末に達成度を確認しあうという仕組みを所員達だけで考えて実行してくれた。その姿を見て、改めて理念が「自分のもの」ではなく「皆のもの」となり、使ってくれていることが分かり、感無量であった。