企業訪問

【16.12.01】次代を担う 次代を託す(6)

10年かけて社員に事業承継

   昭和四十五年喜多室内装飾から始まり、昭和五十四年、住宅リフォーム喜多ハウジング㈱を設立し、四十七年目を迎えます。「人間尊重の一体型経営」そして「資本と経営の分離化」を実践し、全国住宅リフォームコンクールを三十一年連続受賞し、北陸三県で実績№1を続けています。
 創業の経緯は、子供の頃から「一度限りの人生、自分のやりたい事を思いっきり正々堂々とやる」という人生観が自然と出来上がっていました。そして、息子も別事業として不動産業を設立しました。中小企業では、事業承継は八〇%が同族の中、無借金経営、現金決済の喜多ハウジング㈱は、創業四十周年に社員であった現社長に役員を選出させ、新体制を作り上げました。現社長は現在五十歳。会長自身が十年かけてプロセスを組んだように、現社長も、来年からは十年かけて三代目の後継者育成に入ります。
 喜多ハウジングの社風は、社員一人ひとりが明るく、楽しく、元気に自主的、自発的に働き、毎日会社に来ることが楽しいといえる社風を目指しています。二十一世紀は女性が主役となる時代です。営業社員はゼロ、競争見積りもお断りしており、働く環境が良くなると、業績も業界平均より一人当たり三〇%アップしました。
 「売るから売れる時代へ」「物からことへ」という価値の考え方で、地産地消である九谷焼や輪島塗を取り入れたり、売り上げを急に伸ばさない年輪経営を目指しています。
 人材育成投資はローリスク、ハイリターンだと捉えています。社員の評価は個人評価ではなく、チーム評価を導入しています。「人を生かす経営」として、その結果、社員の会社に対する改善案は月に五十~七十件提出されます。また、社員全員で、毎年三つの目標(個人・家庭・仕事)を立てることを実践し、喜多塾、価値観研修はじめ、経営塾、新人研修、職人の研修などを行っています。 
 今年、「経済産業大臣賞受賞」経済産業省中小企業庁「はばたく中小企業三百選」に選ばれました。自身の考えが、全国の建築業界にはどこにもなかったことを受け、「築き上げたこの考え方を、百年かけて全国に伝えていきたい」と話しました。

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