【17.07.01】次代を担う 次代を託す(13)
創業100周年に事業を承継
田村 裕之 会員 (株)タムラテント 取締役
同社は、建設機械・産業用車両向け資材や建設現場・商業施設の屋外広告物など様々な帆布製品の製造・販売・施工を専門とした企業です。創業は一九一九年、九十八年続いている老舗企業です。今回は、後継者の田村会員だけでなく現社長(父親)のお二人に、次代を「担う」立場と「託す」立場の両方の話を聞く貴重な機会となりました。
田村会員が入社したのは四年前の三十一歳の時。それまでは、実業団のバレーボール選手でした。百九十?を超える彼の身長を思うとうなずけます。入社当初はバレーボール一筋の実績から、今の会社でも上手くいく自信があったが、現実は何もできないと痛感します。何をしていいのか分からず、社員との関係もうまくいかず、さらに「おまえに会社は任せられん!」と社長からも認められず苦悩する日々が続きました。そんな悩みを抱えながら同友会に入ったのは二年前。?プログレの宮下会員の報告で自社のことや経営について熱く語る姿が眩しく感化され、活動にも熱が入り、青年部会でも積極的に役に携わり、そして経営指針講座を受講しました。「多くの学びですべての見え方が変わった」と言います。自社の特徴、感謝すべき人たちの存在、今後進むべき道がわかってきたようです。
一方社長は、「初めは未熟で当然。早くに多くを経験し、失敗しないと一人前になれない」と。代々若くして継承してきた歴史や社長自身の経験を力強く語る様子は、田村会員同様に並外れた身長の威圧感もあってか、強い説得力でした。「同友会では色んな経営者と話をして、沢山の『先生』をつくる最適な場である」と田村会員の同友会活動を応援し、経営指針講座の発表を聞いてさらに理解が高まったそうです。さらに突然、「二年後の創業百周年に会社を承継する」と、サプライズ発言も出てきて嬉しい驚きです。「実は以前から創業百年を迎えるときに継がせたいと思っていたのですよ」と笑いながら話す姿は、先ほど見せた威圧感ある経営者とは全く違う、父親の優しい顔を覗かせました。
一年前に田村会員から聞いた悩みはいったい何だったのか?この変貌ぶりを見て同友会活動の素晴らしさを改めて実感しました。