【18.02.01】事業承継(20)
後継者の決断を尊重し展開を見守る
株式会社北陸サンライズ
代表取締役会長 木村 竹芳 会員
サンライズグループは、木村会員が1975年に創業した(株)北陸サンライズを含め4社を国内外に展開しており、印刷業として多彩な設備とノウハウで、さまざまなニーズに対応しています。
事業承継のきっかけは、デジタル化など著しく進歩する業界の中で「時代に応じた意思決定が難しくなった」と言い、2013年から長男に事業承継しました。身内の2代目は社員から先代と比較され、なかなか良く思われない状況を乗り越えなければならないという宿命があり心配だったが、69歳の時に決断しました。
後を継いだ現社長の木村賢一郎氏は、印刷会社の技術が横並びで特徴がなく価格競争に陥っている状況に危機感を抱いていました。これからは各社専門性を強めていく必要があるとした上で、「自社は厚紙印刷とパッケージが最大の特徴である」とし、印刷物に付加価値をつけ、他社と差別化するという方針を立て、大型設備投資を決断しました。木村会員は、新社長の決断を尊重し一切口出しせず、ただ今後の展開を見守るだけでした。これを機に社員の意識が変わり、社長を見る目が変わっていきました。
これからは従来型の印刷屋からの脱却、今存在している仕事を求めるのではなく、今ないものを提案していく「総合プロデュース業」への転換を掲げています。一例として、「ゴミにならない印刷物」をテーマにアイデアを出し合う社員の姿は、会社が一つぶなっている様子が伝わってきます。
海外事業においては、ミャンマーにある合弁会社の製造品質を日本の高水準にまで高めていきたいと考えています。もともと同友会の仲間から得た情報をきっかけに手掛けた会社であり、創業から20年間好調に推移しています。「人口が多く平均年齢が若いミャンマーには発展の可能性を秘めている」と語る木村会員には、まだまだ衰えない情熱を感じました。
事業承継についての考えや行動は、海外事業と同様に、同友会歴32年の中で培った学びが活きています。