【18.03.01】クローズアック会員企業紹介(7)
同友会の仲間とPDCAサイクル実践
農事組合法人 北辰農産
代表理事 舘 喜洋 会員
農事組合法人は、農業生産の協業を図り、組合員の共同の利益を増進することを目的とした法人で、舘会員は2014年から北辰農産の代表理事を務めています。農業はいわば家業。しかし、米づくりだけではTPPに代表される時代の変化に取り残されるのは必至と舘会員は感じ、生産に軸足を置きな
がらも、加工・販売の6次産業化にも乗り出しています。
2015年に自宅敷地にあった旧事務所を増改築して、販売と情報発信の拠点となる「稲ほ舎」をオープン。稲ほ舎ブランドで、無農薬・減農薬の米のほか、餅、かき餅、あられ、梅干、こんかいわしといった加工食品を約30種類製造・販売しています。去る1月には、減農薬栽培で育てた特産米と白山の伏流水を使った新商品「白山らいすくらっかー」の発売が間近であることが、地元紙に大きく掲載されました。
同商品の商品開発には、石川同友会金沢城南支部の𠮷田(茂)グループが関わりました。その狙いを、グループ長の𠮷田茂雄会員はこう説明します。
「2016年4月にグループが発足した際、PDCAサイクルを意識したモノづくり、コトつくりをしていくことを活動のテーマとしました。経営者にP(計画)とD(実行)を得意としている人は少なくありません。しかし、その先のC(評価)とA(改善)はどうか。途中でつまずき、PDもしくはPDCの後が続かない経営者が多いように思います。そこで、PDCAサイクルの実践と訓練をグループ内で行い、会員の資質向上につなげていくことを申し合わせました」。
企画段階でおよそ1年の時間をかけ、複数の候補の中から北辰農産での新商品開発を具体的な取り組み対象として選択。さまざまな加工法、形、大きさの米菓が試作され、会員らは試食と検討を繰り返しました。そして、玄米と白米を原料とする2種類のクラッカーが完成。今年1月までに包装パッケージを含めた試作品が仕上がりました。
「白山らいすくらっかー」は、余計な味付けをしていないプレーンな味わい。「地元白山市の和の食材をトッピングすると、さらにおいしくなります。今年春にオープンする道の駅 『めぐみ白山』でも販売予定ですので、PRを工夫し、地域の特産品全体の底上げにつなげていきたい」と舘会員は意気込みを語り、法人外のメンバーが加わった商品開発に手応えを感じています。参画した水上博司会員は「舘会員は物事にポジティブにチャレンジしていく、可能性を感じさせる人。周りが彼を後押ししたくなる」と話し、包装パッケージの制作を支援した宮下正人会員もうなずきます。
PDCAサイクルの実践を目的とした、石川同友会では前例のない新たな試みは、今後も引き続き、吉田(茂)グループで行われていきます。