【18.03.01】事業承継(21)
「この会社の社長になりたい!」混乱を経て承継へ
(株)シコウ
取締役営業部長 藤井 敬士 会員
(株)シコウは、自動搬送ロボット(AGV)の設計・製造・販売を手掛け、自動車会社や製薬会社、病院などに自動搬送システムを提案しています。少子高齢化に伴う深刻な人手不足を背景に、ランニングコストの削減、人件費抑制のメリットに搬送ロボットへの関心が高まり、全国各地の物流倉庫・病院介護施設などの物資搬送に活用されています。
昭和41年「有限会社紫光通信」を法人登記、昭和56年より同社を本格操業させた村田昌巳社長が平成11年、現在の「株式会社シコウ」に改称しました。平成21年村田社長は事業承継の準備をする間もなく逝去し会社に危機が訪れました。
混乱期に陥り一時はM&Aによる企業買収をされましたが、買収先から株を買い戻し、関連会社の(株)トピアシステムの代表でありシコウの監査役だった、北村敏春氏(現社長・写真右)の力を借りて、当時多額の債務超過に陥った会社を10年計画により、利益・原価の見直しや薄利多売を止め、毎年利益を上げるまでに再生することができました。おかげで銀行の評価も良くなり、社員にも賞与で還元できるようになりました。また、全社員に毎月の収支報告を行い、社員にもお金の意識を大切にしてもらうため、今後の売上げ展望も伝え経営状態を透明化しています。創業者の村田社長が残してくれた社是・社訓行動8箇条は、毎朝全員で唱和し教えを伝え、現社長が事業の流れを良くし透明化をはかったことで、会社の方向性が社員にも伝わり始めてきました。
藤井会員は16年前の25歳で入社。現場、営業を経験し3年ほどたった頃、「この会社の社長になりたい!」と村田社長に願望を伝えました。村田社長からの承継は叶いませんでしたが、現社長もこの意を汲んでくれて、今後の事業承継に向け、10年ビジョンを話し合い、新工場の計画や新開発商品のプレゼンを企画しています。
今年は経営指針成文化講座を受講し、経営指針づくりにチャレンジします。「社員全員がエンジニアになれる会社にすることが目標です」と笑顔で熱く語る藤井会員はとても輝いて見えました。