企業訪問

【18.04.01】クローズアップ会員企業紹介(8)

社員と共に学び合える場は同友会のみ

 \; 株式会社 河内物産 代表取締役 河内 勇二 会員

 河内物産は、鶏肉の飼育から加工、販売までを一貫して手がける北陸で唯一の企業です。同社と石川県ブロイラー生産組合(飼料やヒナの売買)、トヤマカワウチ(富山県内の営業拠点)、とり工房(鶏肉加工)、とり農園(自社加工品のインターネット販売)からなるグループ企業5社で「夢農」をコーポレートブランドに掲げ、安全・安心な鶏肉を消費者に届けています。
 北陸3県の中で、生鳥を引き受けて処理・解体できるラインを有する加工場は、実は同社にしかありません。生鳥の輸送コストや鮮度などを考えると、北陸3県の中央に加工拠点を持つことは経営戦略上、地の利を生かした強みとなっています。一方、同社では契約農家に委託し月5万羽を飼育していますが、「全国的に見れば非常に小規模です。処理・解体数が1週間で6000羽という現状の実績も、全国大手と比較すれば50分の1レベル」とグループ5社のトップを務める河内会員は説明します。
 社会の健康志向が強まる中、鶏肉の消費市場そのものは拡大傾向にあり、近年はそうした日本市場を狙って海外産鶏肉の輸入量が増加しています。ならば、鮮度の高い安全・安心な鶏肉を、消費者ニーズをくんで自社加工し、可能な限り付加価値をつけることが河内物産にとって拡大する鶏肉需要をつかみ、業績を上げていく上でのポイントとなっています。
 河内会員は父親が創業した河内物産の2代目社長にあたり、就任は10年前の36歳の時。それ以前から役員を務めていたものの、父親と考え方に相違が多く、部下が混乱する状況を解消するために自ら社長就任を求めたそうです。しかし、いざ経営の陣頭指揮を取ると、会社は赤字に。募る危機感がイライラとなって現れ、社員との溝も深めてしまいました。
 大きな悩みを抱えたその翌年、銀行の取引先会で出会った同友会会員から、「経営の勉強になるから顔を出してみては」と誘われたのをきっかけに同友会へ入会。入会後は、先を見ない場当たり的な発言や発想を改め、自身の右腕として登用した常務と自社の将来に関する対話を続けました。
 そして2015年に、同友会の経営指針成文化講座を受講。そこで会社・社員・地域社会の関係を学び、見直す中で、「社員に自分から心を寄せないと、現場にも人の心が備わらないし、会社が本来持つ強みも生かせないことに気づかされた」と振り返ります。河内会員は社員共育塾にも社員とともに参加するようにし、共に学び合うことで風通しのいい社風を確立。業績アップにつなげています。「社員と共に学び合える場はほかにはない」。こう実感を込めて語る河内会員は取材の最後、満面の笑顔で社員の皆さんと写真に収まってくれました。

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