【21.11.01】事業承継(64)
想いを繋ぐ事業承継
株式会社アイビー
取締役 村上 文人 会員
■サラリーマンから後継者へ
入社は合同企業説明会がきっかけでした。大手企業からも数社内定が出ましたが、作業着・制服を扱う専門店として接客業務が出来る事や通勤の利便性が入社の決め手となりました。以後営業畑で奮闘する中、その仕事ぶりが認められ後継者として指名されます。サラリーマンから後継者への大出世ですが、当時はまさか自分が将来経営をするとは考えもしませんでした。
■同友会活動を通して成長
後継者として指名されたのは2012年、同友会に名義変更で入会するタイミングでした。「同友会で勉強してこい」と当時社長からの一言で入会したものの、経営者の集まりに距離を感じ、参加することが億劫になってしまった最初の2年間は幽霊会員でした。しかし、「途中で投げ出すことは性に合わない」とコツコツ活動に参加する様になり、青年部活動や経営指針講座受講でスイッチが入ります。
声をかけてくれる仲間や自分の居場所が出来ました。視野が広がり経営者と話す度胸もついたことから仕事の幅も広がりました。実践については課題が多いですが、朝礼や理念の唱和なども少しずつ取り組んでいます。
■社長の他界で経営者として覚悟
同友会で経営を学び、事業承継に向け準備をする最中、突然社長が病に倒れ今年の5月に他界しました。亡くなる直前、社員全員に宛て手紙を書いてくれました。村上会員宛の手紙には「経営理念は達成できたかな」と。最後まで会社や社員のことを気にかける内容が書き綴られていました。村上会員はそこで経営者の覚悟、理念の重みを強く感じました。社長は亡くなったけど理念は生き続ける。事業承継は想いを繋ぐことだと社長の死から気づきました。
■2つの理念を融合し新しい時代にマッチ
今年のテーマは「和」。大黒柱が抜けた今、社員皆で手を取り合って頑張っていこうと社員に語りました。当時の社長が創った理念、自身が創った理念、これらを融合させ新しい時代にマッチしたものにしたいと考えています。
現在は社長夫人が代表となり、ナンバー2として会社を先導する村上会員は、今後のビジョンについて「ネット販売事業を拡充させ自社オリジナル製品の開発にも着手していきたい。作業着を扱うビジネスは追い風、この波に乗りたい」と力強く語りました。