支部の活動報告

【11.12.20】北金沢支部・金沢中央支部12月合同例会

取引銀行の不良債権比率と自己資本比率が重要

  講師:金澤 泉 氏 / 北陸大学 教授

 景気を操作する為に政府としては財政政策、金融政策を通して景気が良くなれば増税し公共事業の縮小、景気が悪くなれば減税し公共事業を拡大することで景気を回復させる。しかし、民間金融機関は反対で景気が良くなれば貸付を積極的にするが、景気が悪くなれば貸し渋り貸しはがしをする。この政府と民間企業が反対の動きをすることをProcyclicality問題と呼び、最近注目されている。このような問題が発生した結果、企業全体のバランスシートは縮小する一方、財政赤字は増大し、その後リーマンショック、ギリシャ問題が重なり、日本全体がデフレから脱却できずにいる。
 今後の金融機関の展望としては、ユーロ危機や日本の財政赤字、円高基調等を考えれば、当面国内のデフレは継続する。従って、大企業はBS調整や間接金融から直接金融へのシフトは変わらない。その結果、銀行はメガバンクを中心に大企業取引から中小企業取引、個人取引にシフトしつつあるが、一方で取引先の選別も進むことが十分予想される。従って、金融機関から選別される中小企業となるように財務内容の改善を心がける必要がある。
 今後、中小企業の金融取引の展望として、特に以下の六つの点に注意する必要がある。
1.銀行取引はメガバンク、地方銀行、信用金庫、政府(政府系)金融機関などバランスのとれたものとし、取引銀行数はむしろ絞込み気味にする。
2.海外進出を検討している場合にはメガバンク取引は必須と考える。
3.自社が各銀行から評価されている債務者格付(信用格付)は常に意識して、それの向上に努める。
4.各行が共通に重視する財務指数(例えば、自社の自己資本比率、総資本経常利益率、外部負債依存度等)は常に把握しておく。
5.取引銀行の業容についてもある程度把握しておく。特に、不良債権比率と自己資本比率は重要。
6.自社が好決算になった時には、銀行取引、得意先、仕入先との取引条件の良化を心がける。
 この中でも五番目が重要で、金融機関の中小企業に対する方針は銀行自身の業績でどんどん変わっていくからだ。だから、中小企業も金融機関の業績について注視していくことが重要になってくる。

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