【12.07.26】7月県例会
経営理念を作るために入会
報告者:㈱モリタ 社長/富山同友会代表理事 森田 昌孝会員
テーマ:「同友会での学び・気づき・実践」~経営指針・社員共育・共同求人の三位一体経営~
㈱モリタの3代目で同友会に入会する前年に、当時の社長である父親から社長になれと急に言われた。心の準備も経営の勉強も何もしていなかった。お客様の中に、多店舗経営をしている方がいたので相談した時に「経営理念を作りなさい」と言われ、単純に経営理念をつくれば社長になれると思い、父親に「経営理念を作ってから社長になります」と伝えた。しかし、経営理念については何も分かっていなかった。たまたま同友会に入っている経営者が案内書を持ってきて「経営指針を創る会」と書いてあり、そこへ行けば創れると単純に思い、同友会へ入会することになった。しかし、経営指針を創る会とのスケジュールが合わず、入会したが会には参加していなかった。
とにかく理念を作ることしか考えていなかったので、神奈川県で経営理念を作れる所を見つけて、貯金を果たして作りに行った。四泊五日ホテルに缶詰め状態で、自社の情報や自分の思いを見ながら、ヒアリングを繰り返し、色々な言葉を探しながら作った。時間もお金も費やしたし、自分なりにやったという思いで、富山に戻ってきた。作った経営理念は、社長就任式に発表会も兼ね意気揚々と発表した。社員の反応は一生懸命聞いているという訳でもなかったが、自分としては満足して終わった。会社へ戻り、書道の達筆な方に作った経営理念を書いてもらい席の後ろに額に入れて掲げた。
ワンマン経営を指摘
同友会のミニ例会で自社について話をすることになった。報告後に初対面の会員から「非常に自分勝手なワンマンな経営をしているね」と言われ驚いた。その後の質問に何も答えることが出来なくなり、この場を早く去りたいという思いでいた。「本当に良い会社にしたい、もっと成長したいと思うのであれば、経営指針を創る会を受講してみてはどうか」と言われ翌年受講した。
通じるものがあれば話せる
経営指針を創る会では、会社のことを突っ込んで聞かれたが何も答えられなかった。次の課題で「母親と関わってその課題をクリアしてください」と言われた。受講したらやらなければいけないので、その課題をクリアする為に母親と話をすることにした。とにかく頭を下げて懇願した。2週間ほどしてやっと課題が書けるようになった。少し自分が変わった気がした。この時、助言者の言っていたことが分かってきた。次に父親、社員と続いた、その時に何となくわかったことがある。「社員には本気で向き合って、自分をさらけ出し、お互いに通じるものがあれば話せる」と言うことだった。
社員と一緒に理念作り
受講が終り発表会をした。発表会を見に来ていた美容部門の社員から「指針を作りましょう」と言われた。お金を払って作ってもらった理念では意味が無いと気づき、受講中に掲げていた理念を取り外していた。再度、社員と一緒に創り直した。
同友会で社員が報告者になったことがあった。横にいても何も言ってはいけないと例会担当から言われていた。その時の報告で「社員は社長の出来ていないところを全部しっかり見ています。そこは社員で補います。社長も社員の出来ていないところは見てくれているから、そこはしっかりと補って下さい」と言われた。社員との関係はそういうものだ。だから社員は良く見ている。社長は会社にいなかったりするが、どうやって見ているのかと言うと、しっかり報告してくれる社員が育ってきたからである。
社員から「特に社長に報告しなくてもいいことは報告しません。自分たちで解決できることは自分たちで解決します。解決できないことを報告相談します。自分たちでできる事は自分たちでします。社長のできないことも自分たちでやります。自分たちのできないことだけを社長はやってください」と言われる。本当に頼もしい。
社員達がどんな会社にしたいのかということを考えて行動するようにしている。「地域社会に認めてもらいたい、知って欲しい、見てもらいたい」という思いを、私以上に社員は感じ始めている。
学んだことを社員に伝える
特別なことをしているのではなく、同友会に入会して地道に実践し、学んできたことを自分なりに社員へ伝えてきた。それが徐々に伝わりいつの間にか会社が変わっていた。その中で一番変わったことは経営者である自分が一番変わったことだ。次に社員がイキイキとして、一人一人が理想の会社にしたいという思いをもって働いていると感じとれるようになった。同友会に入っていなかったら、今の会社の様にはなっていなかった。