委員会活動

【13.10.23】第28回経営者フォーラム

 第28回経営者フォーラムは10月23日(水)ANAクラウンプラザホテル金沢で開催し、「人を生かし地域づくりと共に企業の維持・発展を目指そう!」をスローガンに会員と65名のゲストを含め246名が参加した。 
 乗地茂勝実行委員長のあいさつに始まり、岩木弘勝代表理事が「なくてはならない会社になるために」~同友会が目指す企業づくり~と題して問題提起を行った。その後、三つの分科会に分かれ学びを深めた。

問題提起

報告者:岩木 弘勝 代表理事 ㈱サクセスブレイン 代表取締役社長
テーマ:なくてはならない会社になるために~同友会が目指す企業づくり~


 法人数は減少しており、企業存続の難しさを表している。企業は環境適応業といわれる。存続の方法は自社の経営課題を早期に発見し早期に解決すること。同友会は企業存続のための運動だ。

 一月に5か年ビジョンを発表し、四つの運動方針(元気な企業づくり・元気な経営者づくり・元気な地域づくり・元気な同友会づくり)を掲げた。企業家であることを第一の使命とするならば元気な企業を作ること=なくてはならない企業になることが大切だ。大企業に頼っていると、あるとき街がだめになる。99.7%の中小企業が日本の雇用の80%を支えているが、切り捨てられやすいのが実態だ。自分で守っていくしかないのだが、一人の努力だけではなく、皆の知識と経験を交流し研鑽していく、この様な会が必要だ。日本の課題を解決するためにも同友会運動は不可欠だ。

 社員・顧客・業界・地域にとってなくてはならない会社になるために、まずは黒字企業(黒字体質強化)、人を生かす経営へとステップアップして行こう。第1分科会では人を生かす経営について、第2分科会では企業の地域貢献について、納税と雇用だけでは点でしかなく、線、面へと移っていくよりよい経営環境づくり(地域づくり)について深めてもらいたい。第3分科会では、まさになくてはならない会社へ進化中の企業実践・経営哲学から学びとってもらいたい。

第1分科会

  報告者:山田 茂 氏 ㈱山田製作所 代表取締役/大阪同友会副代表理事
テーマ:『人を生かす経営』覚悟と徹底実践で強靭な会社を目指す!


 14年前は求職している面接希望者すら素通りする、汚かった町工場。中に入っても土のような床にタバコの吸殻と痰があちこちに落ちていた工場だった。「なんでお前にそんな事言われなあかんねん!」創業者である父親やベテラン社員との壮絶な衝突や葛藤の日々。そして迎えた大きな転機が仕事をとめてまで敢行した「工場丸洗いプロジェクト40日間」。当時、汚す事を当たり前として反目し続けた社員達にとって「俺たちだってやればできる」と会社が生まれ変わった瞬間であった。完成の象徴である「白線を踏まない」ルールが、守る事を決め決めた事を守る当社の企業文化の原点になった。

 その後1999年に同友会に入会。経営指針成文化や労使見解の学びの中で、社員との信頼関係を見直した。企業を維持発展させるためには企業の全機能をフルに発揮させる事。それは経営者として社員の能力を生かしきる事であると気付いた。とことん社員と向き合いながら、社員の適性に合う仕事を探す事にも全力を挙げ、それに応えてくれた社員から『人を生かす経営』の本質を教えられた。一方では社員に誓った公私混同の排除と経理公開を実施。社員は一生懸命だけではついてこない。経営者の『本気の姿勢』こそ大切なのだと悟った。

 同友会の企業変革支援プログラムの活用によって、社員との信頼関係や経営課題が見える化できている。社員と共に自社の改善を積み上げ、今では年間250社様以上が企業訪問に来る、整理・整頓・清掃の行き届いた『3S徹底』工場になった。誰でもできる事を誰よりもやりぬく姿勢が今では当たり前になった。人を生かす経営の神髄『労使見解』とは読むだけでは分からない。実践しては読み返して、じわっと心に染みた瞬間をどれだけ積み上げられたかが大事なのである。

第2分科会

  講師:山出 保 氏 石川県中小企業団体中央会 会長(前金沢市長)
テーマ:石川の地域をよくする


前半は山出氏の講演。以下講演要旨。 

 前金沢市長として町を元気にすることに注力してきた。キーワードとして二つ、多様性と独自性。多様性について、大企業とその関連企業で構成される「企業城下町」は好ましくない。様々な産業、新旧存在する文化など色々なものが混ざっているのが元気な町だと思うし、多様であることが可能性・持続性を生む。企業も同じで多様性を意識し、独自性のあるものを生み出すべき。また自立内発性を求めたい。大企業を誘致するのではなく、自分達で協力し合いものを作り加工し流通に乗せる。能登・加賀の地域や産業を跨いで連携することで利潤が生まれ次の改革の原資になる。それを繰り返すことで地域の循環的な発展が生まれる。

中小企業は独自の技術・知識を持っており、規模が小さいから機動力があり意思決定が早いなど柔軟であるのが良い所だと思う。ニッチ市場でトップシェアを誇る企業数が東京、大阪に次いで石川は3位。ものづくり基本条例の考え方は「ものづくりの基本は人づくり」。是非、従業員に汗を流し手を汚して働くことの意味を理解させて欲しい。

 後半は山出氏と玉田前代表理事をパネリスト、高屋政策条例委員長をコーディネーターとしパネルディスカッションを行った。山出氏は自立内発性の具体的事例として五郎島金時を使用した焼酎の事例を紹介し、加工や流通含め金沢で行うべきという考え。また付加価値を高めるため県内の大学と協力し合う必要性について語った。玉田前代表理事はザ・ループや石川県中小企業団体中央会などを利用し、異業種交流を進めて事業を身近な所から拡大し地域づくりに貢献すべきと語った。また同友会との今後の連携について、年2回の連絡会を行い意見交換を行いたいという提案が山出氏よりあった。

第3分科会

  報告者:喜多 甚一 会員 ㈱ビーイングホールディングス 代表取締役社長
テーマ:会社をつくる。人間をつくる。社会をつくる。


 経営の根幹は人であり、現在まで人のことばかり考えてきた。これからもおそらくずっと人作りのことを考え続けていくと思うし、会社は人で出来ている。社員は根本的に自分が幸福になりたいと願って仕事をしている。

 次に社会作りだが、会社として雇用は最大の社会貢献。今の社会を見ても雇用の受け皿から溢れた人が悪さをする。できればそういう人を作らないよう、どんな人でも雇用できることが理想。

 望む人物像は、1.自立した人。自立とは人のせいにしない、自分の責任として物事に取り組む人。2.社会人。社員教育とは、技術やお金の稼ぎ方ではなく、社会に順応できる人を育てること。3.時間を大切にする人。4.決断力を持った人。決断と判断は全くの別物。判断力は今までの経験や学習により身に付けられるが、決断力は信念や生き方、考え方が重要になる。

 また、そういう人を中小企業では採用の段階から求めてしまうが、そんな人材はいない。海岸に流れ着いた流木で家を作るようにこの人にはこれが出来るだろう、またこの人にはこれが向いているだろうと考えて当てはめていくという連続である。後はその社員を磨き、鍛えること。磨くとは傷つけることで傷つくことを恐れてはいけない。鍛えるとは叩かれるということで、如何に叩くか。覚悟を持って育てる、作るしかない。

 人材育成とは、わかる、できる、やる、ということを教えていくこと。しかし自分に置き換えてみると、やってみてちょっと分かるようになる。ちょっと分かるようになったら出来るようになる。ちょっと出来るようになったら、ちょっとやる気が出るーということ。ならば、わからなくても、できなくてもやることが重要だということを自らの背中で見せて指導していくことが大切。

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