【14.06.17】金沢中央支部6月例会
日本の伝統文化を売る
報告者 吉村 浩史 会員 ㈱丸年呉服店
テーマ 「呉服産業の現状と自社の取組み」
姫路の呉服店で 修業し自社に戻った。十年ほど前に三方芳し経営として理念を作り、社是を五つ掲げた。社内の問題点として、給料を歩合制にしているせいか、個人売上至上主義の風潮になっており、自分のお客様でない人を軽視する傾向がある。また、売上の催事偏重や新入社員への基礎教育の不徹底、売掛金の増加や在庫蓄積などがある。そのため、朝礼や社内会議を発足して、社員に責任を持たせるようにしている。
呉服業界の流通経路は、養蚕農家から消費者の間に仲介業が多く、お客様への小売価格が上がってしまう。市場規模は、一九八一年の一.八兆円をピークに、二〇一一年には三千億円、数量は十分の一に縮小している。業界の近年の動きとしては、問屋が小売に参入したり、写真館が振袖のレンタルで参入してきた。自社でも付属品をパックにした企画商品を出したり、着付け教室もしている 。四十代、五十代をターゲットに、着物を着た後のアフターサービス(手入れ)にも力を入れている。また、北陸新幹線開通を見据えて、旅行雑誌への広告掲載やSNSを活用して特典を付けたりしている。
日本の伝統文化を売っていることを自覚し、お客様が何を望んでいるのかを第一に考えつつ、伝統産業、近江町を盛り上げていきたい。