【19.10.24】第33回経営者フォーラム
【基調報告】
第33回経営者フォーラムは10月24日(木)ANAホリデイ・イン金沢スカイにて行われ延べ210名が参加しました。以下、基調報告、分科会記録。
基調報告 「成長し続ける企業づくり」〜ゼロからの市場創造と組織づくり〜
有本 哲也 氏 (株)デジアラホールディングス
代表取締役会長/兵庫同友会副代表理事
インターネットを通じたエクステリアの販売をする会社を経営しています。前例がないビジネスモデルであり、自ら市場を作り出して現在の会社を築いてきました。創業時は金銭面で苦労し、高邁な理念もなく、売上を上げることに必死でした。諦めずに7年ほど継続して売上が伸びてきた中で市場の変化を感じました。売上の増加に伴い、社員が増えると、次は組織の問題に直面します。
自分と同様に社員も楽しく働いていると勘違いしていました。あるとき朝礼で社員が目の前で倒れ、「やっぱり」と思いました。ずっと社員の辛い状況から目を背けていたのです。会社を良くするには売上・利益だけではなく、良い組織を作ることが重要です。管理部門に幹部社員を採用したことで、経費など細かな指摘を受けながら会社が成長してきたと感じています。
売上が100億円を超えても課題が無くなることはありません。社員が安心して働ける「普通の会社」を目指しています。実はそれがとても難しいことなのです。
【第1分科会】三位一体経営
「ひらがな経営で社員がキラリ」〜全員が考え行動できる会社へ〜
報告者 橋本久美子氏 (株)吉村
代表取締役社長/東京同友会 女性部部長
経営理念・社員教育・共同求人の三位一体経営を基軸に何事にも真正面から向き合い、社員さんたちをうまく巻き込みながら一緒になって考え行動する橋本社長の経営姿勢がよく伝わってくる報告でした。中でも印象的だったのが、いかにわかりやすく「伝えるか」ということの重要性、社員さんたちにいかに「活躍できる土俵」を作ってあげられるかということの重要性、そして次から次へと飛び出す印象的なキーワード・・・「ひらがな経営」「長所と短所はコインの裏表」「サンタクロースの理念」「経営理念ごっこ」「みたらしちゃん理念」「レジェンド」「植田方程式」など。これらすべては橋本社長自身の経営に対する謙虚な姿勢があるからこそであると思いました。
【第2分科会】グローバル経営
「国境を越えてチャレンジ経営」
〜若くして夢を抱いて海を渡った男たち〜
対談者:北村 隆 氏 (株)キタムラ産業塗装 代表取締役
松多 伸悟 氏 (株)アトラスホールディングス 代表取締役
ファシリテーター:橋爪 渡 氏 (株)フラワーガーデン 代表取締役
第2分科会は30年以上前にタイに海外進出した(株)キタムラ産業塗装 北村隆会員と、平成7年にミャンマーに進出した(株)アトラスホールディングス 松多伸悟会員の報告でした。夢とロマンを抱いて海を渡ったチャレンジ経営に興味のある方が参加。北村会員は勢いがある時代の有言実行!YESマン!旬の時期は業種によって違うがその感性は同友会で鍛えられた。現地では決して他人任せにせず、法律も1から勉強しタイ工場を大きくしました。
松多会員は海外ビジネスセミナーの講師と共に勢いと直感で飛び立ち、日本人と性格が似ているミャンマーを選択。日本で会社を創ることも大変だが、海外はもっと大変なので、お金がなければ知恵を絞ることが大切だと学ぶ。整体の仕事以外に人との出会いで様々な事業を展開しています。
お二人の報告者の共通点は業種による国選びの重要さ。現地で根づくこと。又、今はどの国も物が溢れているので、新しくその国に無いものを持って行くことなどヒントをもらい夢とロマンを描いた学びとなりました。
【第3分科会】環境経営
(見学分科会)
「明日に向かって掴め! SDGsで中小企業の未来が変わる」
〜地球規模の問題解決を見据えたものづくり企業の挑戦〜
見学先:明和工業(株)
担当者:金原 竜生 氏 国内営業部バイオマス事業部長兼凍結濃縮事業部長 海外事業部 担当部長 法務室 室長
「見学分科会」は明和工業水村専務がSDGsの精神(一人も取りこぼさない)と地球環境の関連性を話され、転職2年目金原氏が報告と工場見学を担当しました。
農業関連集塵装置に依存した経営に危機感を持っていた明和工業は2015年ごろ事業を見直しバイオマス事業を第2の柱に据え、海外の低い環境認識に市場性を見出しました。その時国連で2030SDGs宣言が採択され、自社の取組みとSDGsとを紐付けするとJAICAの協力とアフリカ諸国のカウンターパートナーとの連携で相手国政府との商談が始まりました。
2年前、金原氏は活躍の場を金沢のSDGs中小企業に求めたといいます。私たち中小企業の明るい未来のエッセンスが見えた報告会でした。
【第4分科会】ダイバーシティ経営
「多様な人材を生かして成長する」〜障がいのある方と共に歩む〜
中村 こずえ 氏(有)エス・ケイ・フーズ 取締役(長崎同友会 副代表理事)
第4分科会では長崎市を拠点にマクドナルドを11店舗経営されている中村こずえ氏より報告を頂きました。
『時間はかかるが教えれば皆ちゃんと出来る』『強い信念を持って接することで彼らの秘めた能力は十分発揮出来る!』障がい者雇用から障がいのある方と共に育つ経験をしてきた中村氏からの愛溢れる力強い話は会場の参加者にも十分伝わる時間となり、『人を生かす経営』を実践することは経営者にしか出来ないので、その真髄に向き合っていただきたい!障がい者と共に歩むことのできる共生社会をつくるというロマンを共に追いかけようではないか!そんな熱いメッセージが印象に残りました。
そしてこれからの中小企業の経営課題でもある働き手不足の問題に対しては、多様な人材を生かすダイバーシティ経営の考え方について改めて学ぶ大変有意義な時間となりました。