【12.01.01】がんばる社長(7)
オフィス弁当から介護コンフォート食へ
社員と共に新たな市場へ挑戦
㈲ジョイフル 有田康晃 社長
同社は、12年前に父がしていた事業の一つであるお弁当屋を分社化して新たに会社として設立した。始めた19年前はITバブルの勢いにも乗り、オフィス弁当としては調子が良かった。引き継いでからも受注数を大幅に減らすこともなく、維持することができていた。
五年ほど前から同業やコンビニの参入が相次ぎ、オフィス弁当では、市場が飽和状態になっていることに気づき始めた。それでもまだ守りの体制で、減らさず頑張れば何とかやっていけると思っていた。そこにリーマンショックで、製造業の落ち込みから弁当の注文が大幅に激減し大きな打撃となった。
そこで、新たな市場として元々から目をつけていた介護食事業を具体化することにした。介護食を施設に配給するにあたっては決まりが多く、刻み食、軟飯などラインナップを増やし、365日営業、朝・昼・夜三食の対応などのために工場システムやパート社員のシフト体制を大幅に変更する必要があった。この手間を考えてずっと躊躇しており、楽な守りの経営を選んでいた自分がいたという。社員に現状を話すと、ゼロからのスタートだがやるしかないという結論で一致した。介護施設や老人会に営業をかけ、現在は大小合わせて数多くの施設に介護食を提供しており、オフィス弁当の減少を何とかカバーすることができている。
だが、介護食は自社で製造したものを配達し、保健衛生上の縛りがあり市場が限られているので、遠方からの注文はお断りし、各施設での「温めて出したい、一工夫加えたい」といった提供の仕方の要望にも応えることができない。そこで着目したのがコンフォート食(チルド食)対応だ。コンフォート食(チルド食)は?い安全性が確保され、全国の地方の味に応じた調整も可能な上、他県へ安価で配達も可能となる。現在は国内にあるHACCP対応の工場と契約し、来年度は1日3千食を目標に経営計画への落とし込みを図りたいと考えいる。
時代と共に少しずつ業態も変
化してきたが、そこには社員の
存在が心強かった。ピンチの時
に背中を押してくれたことは今
でも感謝している。
お弁当に石川県産こしひかり
や、能登の魚、金沢の五郎島
金時(芋)など地産地消の食
材を取り入れたり、今年のお
せちを「家族で愉しむ」をコン
セプトとして、デザートやキャビアを採用したのも社員と共に試行錯誤した結果だ。これからも社員と共に顧客ニーズを捉えつつ、安心・安全を第一に新たな市場へ挑戦したいと語った。