調査・見解・提言

【13.08.01】景況調査4~6月

調査期間 7月1日~10日
回答数  411社の内81社(20%)

経常利益・資金繰りDI下降

  現在(4~6月)の経営状況を全業種(下表)でみると業況判断DI(「好転」―「悪化」企業割合)は4月調査から売上高DIは横ばいだが、経常利益DIは下降した。経常利益DIは6.5からマイナス7.7へ下降し、資金繰りDIも7.5からマイナス11.5へと大きく下降した。
  業種別に見ると建設業の売上高DIは26.6ポイント大きく上昇してプラス12.5に転じた。経常利益も1.8ポイント上昇した。製造業では売上高DIが6.6ポイント上昇となった。卸小売業は売上高DIは6.8ポイント上昇したが、経常利益DIはマイナス5.5からマイナス30.7へと大きく下降した。サービス業は売上高DI、経常利益DI共に下降した。
  原材料価格(仕入)DI(「上昇」―「下降」割合)は、建設業が87.5、製造業は80と大きな値を示し、円安の影響で原材料の単価が上昇し全体の悪化に影響している。また、雇用状況では、建設業がマイナス33と人手不足感が出ている。  

建設業の見通しは好転予想

  経営の見通し(7~9月)を全業種(下表)で見ると、売上高DIは38.7から27.6へ、経常利益DIも43.9から17.1へ悪化予想。業種別の見通しでは、建設業の売上高DIは54.5から62.5へ好転したが他の業種については悪化の予想となった。 
  自社の最大の経営課題は売上高増加が33.3%、人材育成が34.5%、収益構造改善が16.7%を占めた。
  夏の賞与については約80%が支給すると回答、昨年と同様が60%、昨年よりアップが30%だった。  

アベノミクスの影響あまりない

  安倍政権の経済政策(アベノミクス)の影響については、影響はあまりないが46.3%、良い影響があるが23.8%、悪い影響があるが11.3%だった。具体的な影響として、工事発注件数の増加、公共工事の最低制限価格の引き上げ、円安による原材料高騰などが挙げられた。

総評

  2013年7月の日銀の地域経済報告では、国内8地域で景気情勢の判断が引き上げられた。北陸も「持ち直しの動きがみられる」から「持ち直している」に引き上げられたが、これを鵜呑みにしてよいものだろうか。
  今回の調査によれば、公共事業などによって建設業の売上高は増えているものの、全ての業種で円安等による原材料費上昇の傾向がよりはっきりとしてきた。原材料費アップを売上増でカバーするか、そうでなければ経常利益が圧迫されるパターンとなっている。公共投資で当面支えられたとしても、個人消費はまだ堅調とはいえず、売上増の期待も建設業以外では4月に比べてやや下がっている。企業は受注重視(売上高増加)か利益重視(収益構造改善)かで難しい判断を迫られることになろう。

佐無田 光 氏(金沢大学 人間社会学域 准教授)

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