【13.11.01】景況調査7~9月
調査期間 9月1日~10日
回答数 418社の内90社(21%)
全業種でプラスに転じる
現在(7~9月)の経営状況を全業種(下表)でみると業況判断DI(「好転」―「悪化」企業割合)は7月調査から売上高DIは0.0からプラス21.1、経常利益DIはマイナス7.7からプラス23.4となり全て大きく上昇した。
業種別に見ると建設業の売上高DIはプラス33.3と20.8ポイント上昇。経常利益も13.3ポイント上昇した。製造業では売上高DI、経常利益DIともにマイナス7.7からプラス11.8、17.6へと上昇した。卸小売業は売上高DIがマイナス15.4からプラス33.3へ転じ、経常利益DIがマイナス30.77からプラス6.25へとプラス転換。サービス業においてもプラスに転じ、全業種でプラスに転換した。資金繰りは建設業、その他の業種以外は全てプラス。
原材料価格(仕入)DI(「上昇」―「下降」割合)は、7月調査から落ち着いたが、それでも建設業が60.0と大きな値を示し、円安状況から一服したものの原材料価格に反映出来ていない状況が窺える。また雇用状況では、サービス業がマイナス16.0からマイナス44.0となり全業種で人手不足感が更に強くなっている。
人材育成が課題の企業増加
経営の見通し(10~12月)を全業種(下表)で見ると、売上高DI、経常利益DI共に好転予想。業種別の見通しでは、建設業は売上高DIが62.5から25.0になるなど悪化だが他の業種については改善の予想となった。
自社の最大の経営課題は前回売上高増加と人材育成が30%を超えたが、今回は人材育成が42.2%と多く、売上高増加は18.9%に留まった。
新卒内定企業は28.1%
新入社員の内定状況は、有りが28.1%、無しが71.9%だった。採用予定人数は一名が57.8%と最も高く平均は2.3名だった。
総評
9月からオリンピックの招致決定、アメリカの金融緩和縮小見送り、来年4月の消費税増税(それまでの駆け込み需要)、法人税引き下げという景気を刺激する話題が続いた。それらがどのくらい影響したか定かでないが、業況判断DIは全業種で好転した。消費マインドが緩んだだけでなく、全国的に雇用状況の改善がある。
このような景気回復期に、何が企業成長を制約するかと言えば「人」である。事業を拡大したくても仕事に精通した有能な人材はすぐに揃わず、かといって不況期に人材をストックしておく余裕は今の企業にはない。今回の調査では人材育成の課題は全ての業界に共通しており、これを各社単位で行うだけでなく、もっと外部化して地域ぐるみで一般的技能形成に投資し、地域労働市場を育てる必要があることを示唆している。
佐無田 光 氏(金沢大学 人間社会学域 教授)