調査・見解・提言

【14.2.01】景況調査10~12月

調査期間  1月1日~10日
回答数  432社の内96社(22%)

売上・経常利益DI上昇

 現在(10~12月)の経営状況を全業種(下表)でみると業況判断DI(「好転」―「悪化」企業割合)は10月調査から売上高DIはプラス21.1から46.9、経常利益DIはプラス23.4から38.5となり大きく上昇したが資金繰りは下降した。
 業種別に見ると建設業の売上高DIはプラス35と1.7ポイント上昇、経常利益は3.3ポイント下降。製造業では売上高DIがプラス11.8、経常利益DIがプラス17.6からともに60.0と大きく上昇した。卸小売業も売上高DI、経常利益DIともに大きく上昇。サービス業もともに上昇した。資金繰りはサービス業でプラス22.2からマイナス2.3と下降し、それ以外の業種はプラスだった。
 受注残DIで建設業がプラス77.33から17.65と大きく下降している。また雇用状況では、全業種でマイナスとなり人手不足感が依然として強くなっている。  

冬の賞与、支給が約80%

 経営の見通し(1~3月)を全業種(下表)で見ると、売上高DI、経常利益DI共に悪化予想。サービス業では特に経常利益DIがプラス31.6から6.5に下降するなど悪化が目立った。 
 自社の最大の経営課題は人材育成が34.4%、売上高増加が25.0%、収益構造改善が12.5%を占めた。
 冬の賞与については約80%が支給すると回答、昨年と同様が50%、昨年よりアップが40%だった。  

賃上げ実施と据え置きが半々

 安倍内閣は「デフレ脱却のため」と企業に賃上げを要請しているが、賃上げ実施と据え置きの企業が50%ずつと半々だった。据え置きの理由として、外部環境の不透明さが41.9%、業績が伸びなかったが37.2%だった。賃上げの意向については、「ある」が61.5%、「ない」が17.6%、「わからない」が20.9%だった。

総評

 2000年代における輸出主導の景気と比べて、今回の景気回復は顕著に内需主導である。円安でも貿易赤字が続いているが、これは燃料輸入量の増加だけが原因ではなく、日本企業の国際分業体制が変わったと見るべきであろう。他方で、内需は、金融政策と公共事業、それらを反映した株高に支えられて好調である。石川県の景況調査でも全業種で売上高DIが大きく改善した。
 こうした内需の刺激はいわば強壮剤であるが、これが賃上げを通じて持続するかどうかが焦点となっている。今回の調査で、回答企業のちょうど半数で賃上げを実施したというのは、思った以上に高い数字であった。しかし同時に、各地で人手不足が顕著になりつつある。能力形成された人材が足りないことが事業活動のボトルネックであり、雇用の弾力化が企業の対応として現れてきている。
 
佐無田 光 氏(金沢大学 人間社会学域 教授)

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