調査・見解・提言

【14.05.01】景況調査1~3月

調査期間 2014年4月1日~10日
回答数  405社中74社(回答率18.3%)

売上・経常とも下降

 現在の経営状況は、業況判断DIを全業種でみると、売上高DIは15.1で前回1月調査より31.8ポイント下降し、経常利益DIも38.5から16.5へ22ポイント下降、資金繰りDIは僅かだが4.7ポイント上昇し13.3となった。
 消費税の8%(従来5%を3%アップ)が4月1日より施行されたが、その影響が出るには速い速度だ。資金繰りDIは13.3で前回から微増して持ち応えている。
 

製造業の伸び鈍化

 経営の見通しでは、売上高DIがマイナス8.1、経常利益DIがマイナス2.8と悪化状況を予測しており、改革の対応が求められる。
 業種別DIでは、建設業の資金繰りDIが35.2と好転したのに対し、製造業の資金繰りDIはマイナス11.1と前回より24.4ポイント下降した。消費税アップ前の設備先行投資の影響とも推測できる。売上高DIは建設業が5.9に対し製造業はゼロ、経常利益DIも建設業が23.5に対し製造業はゼロで前回より製造業は60ポイント下降した。前年同月比較では微増したものの上昇の鈍化が見られる。
 

課題は売上増加と人材育成

 自社の最大の経営課題は、68社中、売上高増加が15社、人材育成が29社となった。4月新入社員の採用は35社が採用と答えた。
 業績は前期決算で58社が黒字、今期は63社が黒字であった。経営指針の成文化では、成文化している企業が51社、していない企業は20社だった。

総評

 回答率が低く正確なことは言えないが、回答から見る限り、消費増税に先んじての景気の下振れが観察される。とくに製造業と卸・小売業で顕著で、全国的に増税後の反動を見越して生産抑制の動きが出ているようだ。今回の景気回復は輸出主導型ではなく期待先行の国内需要主導で来ている。消費増税さえも駆け込み需要という形で需要刺激策として作用した。将来の需要を先取りした景気で持っているわけで反動は怖い。ただ、公共事業の下支えもあり今後景気の下振れがどの程度まで進むのかは現時点では分からない。北陸では来年度に向け新幹線開業で盛り上がるであろうから需要がそれほど落ち込むとは考えにくい。
 この執行猶予期間に県内企業がどれだけ将来の競争力の基盤を形成できるかに注目したい。原材料費の上昇傾向、雇用状況の不足傾向、人材育成の課題が全業種に渡り継続している。ネックは需要サイドでなく供給サイドにあり需要主導の景気に一喜一憂せず創造的問題解決のできる人材を育て活かす経営改革が求められる。
 佐無田 光 氏(金沢大学 人間社会学域 教授)

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