【14.06.01】「TakeOff!」~未来へ向かう羅針盤~(3)
荒木空調工業株 代表取締役 荒木 心
水と空気をつうじ社会に貢献
給排水設備、空調設備工事の設計施工、アクアソムリエの資格を取り百種類以上の水の販売もしている。創業四十五年、父が設立したが大学四年の四月に父の末期がんが発覚した。四月からの九か月の間に、母親と、父が喜ぶことは何かを話し、後継者になるということが最良だという答えが出た。卒業後、同業大手で修業し、五年後二十七歳の時に自社に戻った。当時は母親が社長だったが、四年前社長に就任した。社長に就く前より、経営って何だろうと試行錯誤の中で経営理念の重要さを感じ、自分なりに作ってみたが完成に至らず、結局頓挫してしまった。あるとき、友人に相談したところ、それならいい所あるよと同友会を紹介された。その友人が経営指針講座の委員長だったこともあり同友会に入会し、すぐに指針講座を受講した。
昨年の新年会に作ったばかりの指針を発表した。社員には、当たり前のことだけど、その通りしていかなきゃいけないということを理解してくれた。また「今まで社長の言うことがわからん時があったけど、こんな思いやったんや」という声があり、皆納得してくれた。あとは、実行に移すのみという気持ちで良い印象だった。自分を振り返ると、今まで言うことにムラがあったが指針発表後は、筋が通った発言に変わったように思う。自分が何でこの仕事をしているかという認識も、あの大学時代、九ヶ月間で決めたことも線で繋がり、今では亡くなった父に感謝しているし、講座を受けたこともとてもいい経験になった。今年二回目の指針発表も行い、確実に社員と共に確認しあった。来年は自分だけでなく社員と共に作り上げたい。大事なことは、水と空気を通じて人の命を後世に繋ぐということを生業とし、だからこそ水道工事も空調工事も水販売にしても現在やっている仕事はすべて繋がっている。
以前近隣で、自社がどんな仕事をしているのかわからないということを耳にしてショックを受けた。隣の水漏れを他の地域から直しに来ている事実、それを機に地域との関わりを重視するようになった。夏祭りには、氷柱の提供や、おいしい水と土で作った野菜のプレゼントをしたり、児童のランドセルに貼る安全ステッカーの配布など、地域貢献と同時に自社の認知度アップに繋げている。今後は、水といったら荒木という名前をすぐに思い出してもらえる企業になっていきたい。また、身の丈に応じ、時代と共に変化し続ける企業を築いていきたい。