【15.02.01】「TakeOff!」~未来へ向かう羅針盤~(11)
野々市運輸機工㈱ 専務取締役 吉田 章 会員
自分の責任で会社をよくする決意
会長が創業者で、二代目が社長で父親、その会長が健在ということになると、社員には会長を慕う人も多いと思われる。社長の舵取りも難しいのではないかと思われる。そんな中、八年前に将来の三代目として入社する。
二年前に社長から同友会のバトンタッチを命じられ入会。当時、会社では基幹業務システムを導入中で、その責任者であったので多忙な時期だった。運用後すぐに経費削減と高効率に大いに威力を発揮した。これをきっかけに社内をよくしていこうと考えていた時に事件が起きた。ベテラン社員から「今のままだと社員がみんな辞めていくぞ」と言い放たれる。しばらく後に入社二週間目の社員が「社員が会社の悪口を言っている会社に居たくない」と言って退社した。
そんなショックな事件が何も解決されないまま誘われて受講した経営指針講座がスタートした。最初の一泊研修で「社員を見下している」と自分の甘い考えを指摘された。その胸に突き刺さった一言から次に会社の歴史を調べるよう指示を受ける。初めて会長から会社の歴史を聞いた「会社の歴史は社員があってこそ」の一言でこれまでの考えを改め、次にすることが見えた。人のせいにするのではなく、自分の責任で会社をよくすると決意して進めた。経営理念を作り、初めて全社員の前で発表する前夜は、心配で眠れなかったた。いざ経営理念を発表した後は応援してくれる社員がたくさんいてくれてとても感激した。その時、これを継続していくことが一番大事であると肝に銘じ、改革のための研修会や社内報を一新、いきなり全ての要望を満たすことは不可能だが、一歩一歩変化を感じる社内になってきている。
今から思うと、最悪の時に最善の方法を教えてくれる機会に恵まれたことが運がいいと感じる。そして社長も自分で気づくまで敢えてアドバイスしなかったのだと思う。前例にとらわれず進むときは大胆に進み、思い切った行動をとることで明るい未来を拓いていくと感じている。
学者の調査によると、創業した会社のうち、二代目まで続く会社は三〇%、さらに三代目まで続く会社は一五%になる。将来三代目となる吉田会員の話を聞き、何と運の強い人だという思いがした。さらに、その行動を見ていると、頼もしい三代目になることに期待を抱いた。