企業訪問

【16.03.01】「同友会の学びを活かして」(10)

人生一変、雇用維持を守り続ける

  ㈱ムラキ工業 代表取締役
 村木 峰子  会員

 ㈱ムラキ工業(ステンレス加工業/金沢市東蚊爪町)の新社屋・工場が完成し、二月九日、竣工式が行われた(写真)。鉄筋造り一部二階建て、延べ床面積約二千三百九十四平方メートル、総工費約四億円。環境に配慮した排水処理設備も備えた新工場で、三月一日より稼働する。
 同社は一九七三年、金属加工の職人だった前社長が一人で創業した。しかし、九六年に突然、医師から余命二~三年と宣告を受ける。告知は妻である村木会員にだけだったが、経営者としての責任もあり、本人への告知を決断。会社存続と「社員の雇用」を守りぬくための戦いの始まりだった。余命数か月ということを初めて全社員に告白。会社の存続をかけ命を削り、前社長は九八年三月、四十七歳で旅立った。村木会員四十一歳。最後まで後継者の問題で、前社長は悩んでいたという。負の財産である借り入れや保証など、他人に負わせることはできない。当時村木会員は、経営に関してはずぶの素人だったが、二年余りの夫の闘病生活の中で「次期社長は自分の運命」と覚悟は出来てきた。
 人生は一変した。守られていた状況から、守る立場に。只々必死だった。心がけたのはお願いすること。助けてね、協力してね、教えてね、理解してね。人は頼まれると応えてくれる。そして、有り難いと思うと感謝が生まれ、その人達を大切に思っていくもの。これが、ムラキ工業の企業風土だと今は考える。
 引き継いだ半年後に、急にぽっかりと心に穴が開いていることに気づいた。弱気になった自分を奮い立たせ、経営者として勉強ができる場所を探し、たどり着いたのが中小企業家同友会だった。三つの目的、三つの誓いに引き寄せられ、自分自身と社員のためにも学び続けると決心した。
 先が読みにくい世の中、アンテナを張り情報を吸収し生き残ることができる企業づくりをめざす。前社長からの「雇用の維持」を守り続けるため「労使見解」「経営理念」など、自分の心と向き合い模索し、実行し、挫折し、また立ち上がる。新社屋でこれから心機一転、正念場だ。益々お願いし続けることになるが「あなたのお願いなら聞いてあげます」と言ってもらえる人になりたいと思う。そして感謝し続けることを誓いたい。

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