【16.05.01】次代を担う 次代を託す(1)
27年の知恵と知識を2人に承継
保険情報サービス中村保険事務所
代表 中村 喜美子 会員
平成八年、新聞紙上に「会社に頼る時代は終わった」と考え始める中高年。車座で人生議論という紙面に目が留まった。バブル崩壊から五年、昭和四十八年から続いた、安定成長期は終わり、低成長期に突入。失われた二十年の始まりだった。そして、平成五年から、リストラ攻勢の中で孤立する中間管理職が団結し結成されたユニオン。当初十四人でスタートしたが、二年余りで、組合員が四百名にまで増えた。二〇〇七年から、団塊の世代の退職金、年金問題がクローズアップされた。企業は終身雇用の見直し、年を取れば給料が上がる時代は終わり、世界最高の日本の賃金は落ちていくしかなかった。厚生労働省は適格年金の廃止を発表、厚生年金基金も解散。厚生年金は二〇〇四年から毎年〇.三五四%まで引き上げられる事となった。表面化されなかった退職金給付に関する債務が表面化。公的年金の長期見通しで年金制度のもろさが改めて浮き彫りになった。そして、大企業は新しい基準適用を契機に退職金制度を見直す企業も増え始めた。年金の目減り時代にどう対処すればいいのか個人が考える「自衛の時代」になった。経済審議会は知識や知恵が生み出す価値が経済成長、企業収益の原動力となる「知恵の時代」への移行を提言。地価社会へと、時代が変わったとの、認識を持つ必要があると指摘。団塊の世代が大量に退職することにより「貯蓄から投資」へと移行。二十一世紀、時代が大きく変革する事を時の流れの中で感じた。当時の橋本内閣が提唱したのは金融制度改革だった。金融機関の「護送船団」を崩壊させるような改革が進行した。保険会社、証券会社の破綻。そして、銀行、保険会社、証券会社の代理店業の解禁が行われ、数社扱える乗合制度が認められた。当時、中小企業の飛び込み営業をしていた。時同じくして、退職金制度に関する最近の動向としての改正新制度について確定拠出年金(日本版401k)や投資の理論、資産の分散化について東京、大阪、名古屋と回を重ねて学ぶことができた。当事務所が組織化した時、これらの仕事の幅を広げていきたいと長年心に秘めた。そして、自分の立ち位置が明確になってきた。現在、書店の店頭には「日本老後破産」「下流老人」「若者の貧困時代」の著書が置かれ、テレビでも放送されている。
五年前、次男の嫁、融香(写真右)が募集人として登録、三年前、長男の嫁、由香里(写真左)が登録、事務所に入った。FP、相続診断士の資格も得た。世の中の時代背景を考えた時に自分自身が二十七年間培った知恵と知識を二人に承継して欲しいと願った。「人の成長の助けになろうとすること程、自らの成長になることはない」ドラッカーの名言がある。自分自身が自分の為に、本や新聞の情報を読むが、改めて吸収力が違うことに気づいた。限られた生涯賃金と負担の重い税金、進むであろう二%のインフレ対策、百歳まで生き続けるかもしれない目減りしていく老後資金、相続税の問題、企業や個人の保険の見直しを通して自分自身の人生の集大成の問題として、知識と知恵を二人に伝えていきたい。業界の価格競争の渦の中に振り回されることなく、自分達の立ち位置をしっかりと持ち「誰が買うか」だけでなく「何処で買うか」「何の為に買うか」という視点の中で差別化を図り、三人で前を向いて歩いていきたい。
長年の代理店経営の中で多くの方々の出会いにより支えて頂き、知恵と知識を伝授していただいたことに改めて感謝したい。生命保険、確定拠出年金を通して次世代が社会に貢献できることを願っている。「生き残る者は頭の良い者ではない。時代に適応した者が生き残る。」ダーウィンの進化論より(一部抜粋)。