【16.05.01】景況調査2016/1月~3月
売上高DI悪化、予測好転
調査期間 3月15日~4月7日
回答社 96社/405社中(24%)
建設業・製造業の現況増
現在の経営状況(十月~十二月期と比べて)は、業況判断DIを全業種で見ると、売上高DIは一月調査の三四.九から一九.八と一五.一ポイント下降、経常利益DIも二五.五から一九.八へ五.七ポイント下降に転じた。
一方、四月~六月の経営の見通しは、売上高DIは二〇.八から三二.三へ好転したが、経常利益DIは二一.七から一二.五へ、資金繰り予測も一二.三から五.二へ悪化を見込んでいる。
現在の経営状況を業種別で見ると、売上高DIは建設業が五一.八ポイント、製造業が一八.二ポイント、卸小売業で三〇.五ポイント下降した。サービス業だけが一一.八ポイント上昇した。
経営の見通しを業種別に見ると、売上高DIは、建設業で二六.三ポイント、製造業二七.三ポイント、卸小売業一四.九ポイント上昇、サービス業は一〇.三ポイント悪化予測となった。
雇用状況については、全業種でマイナス四六.九と、一年間で一番大きなマイナスDI値を示し、人材不足が全業種に渡り深刻な課題となっているようだ。
経営理念作成42名
経営指針成文化・実践の問いについては、経営理念を作成した企業が四十二社(九十六社中/四四%)、経営方針作成四十一社(四三%)、経営計画作成三十八社(四〇%)だった。
人材獲得競争が激化
【総評】
世界経済の減速、株安、原油安、円高などの影響で、全国的な景気のもたつきが目立ってきた。こうした全国動向を受けて、二〇一六年四月の本調査においても、業況判断指数はやや下落した。しかし、それでも売上高DIで+一九.八、経常利益DIも+一九.八と依然として高い水準を保っており、引き続き石川経済の堅調さを示す。売上高の見通しDIが+三二.三と引き上がったことは、国内需要の推進力が弱まっているとされる中で意外なほどである。ただし、売上は好調でも、慢性的な人手不足のために、人件費上昇と生産性抑圧の影響が出て、経常利益を圧迫する原因となっている構造は、全国と同様である。今後は地域の境界を越えた人材獲得競争がいっそう激しくなると予想される。(佐無田光 金沢大学 人間社会研究域教授)