【16.08.01】景況調査2016/4月~6月
2期連続悪化、景気下降が鮮明に
調査期間 6月15日~7月7日
回答社数 94社/406社(23%)
■売上高・経常利益DIマイナス
現在(四月~六月)の経営状況は、(一月~三月期と比べて)業況判断DIを全業種で見ると、売上高DIは四月調査の一九.八からマイナス六.四と二六.二ポイント下降し、経常利益DIもマイナス三.二へと二三ポイント下降しいずれもマイナスに転じた。
一方七月~九月の経営の見通しは、売上高DIは三二.三から二一.三へ悪化を見込んだが、経常利益DIは一二.五から二二.三へ、資金繰り予測も五.二から七.四へ好転を予測している。
現在の経営状況を業種別で見ると、売上高DIは建設業がマイナス一五.四からマイナス八.三へ七.一ポイント上昇した。製造業では、三一.八からマイナス八.三へ四〇.一ポイント大幅に下降、卸小売業で一三.五ポイント、サービス業で三一.四ポイント下降し、全業種でマイナスに転じた。経営の見通しを業種別にみると、特に製造業で四〇.九からマイナス八.三へと四九.二ポイント悪化予測を見込んだ。
現状の最大の経営課題については、人材育成が全体の三五%、売上高増加が一九%、事業承継が一一%だった。
■防災計画・BCP予定なし58%
「防災計画やBCP(事業継続計画)を策定されていますか」の問いには、五八%が予定はないと回答し、防災計画のみ策定が六%、BCPのみが二%、両方策定はわずか一%だった。
■リスクを予測し準備を
【総評】佐無田光(金沢大学人間社会研究域教授)
石川県の本調査においては、好調な数字が続いていたが、久しぶりに業況判断DIがマイナスに転じた。世界経済が不透明さを増し、円高・株安が進んだことで、企業の業績に前期の経営見通しを大きく下回る影響が出たと見られる。アベノミクスはこれまで「期待先行」で国内需要を刺激してきたが、いよいよ持ち玉も限られ、先行き不安感が強まってきた。とはいえ、北陸経済に限ればまだまだ手堅い要素が揃っており、本調査でも経営の見通しDIがプラスを保っている。
企業にとっては人材確保・人材育成が急務であり、防災計画やBCPの余裕もあまりないようであるが、リスクを予測し準備することが求められてこよう。