【16.08.01】次代を担う 次代を託す(4)
自分が変われば周りも変わる
石橋 隆太郎 会員 ㈲三吉商店 代表取締役
㈲三吉商店は、昭和二十八年に石橋会員の祖父がもやし製造業として創業。昭和四十七年の工場移転を機に祖父の後を継ぐべく東京から帰省した父親が機械の導入などによる効率化を進めました。更に商店街から大型のスーパーに変遷していく時代の流れを読み、事業の拡大に成功し「おいしさ求めてもやし一筋!」の精神で北陸三県にシェアを確立していきました。
三代目として石橋会員が受け継ぐきっかけは、父親から新しい事業「玉鉾食堂」の店長を突然任された大学三年生の時でした。はじめは、お客様だけではなくスタッフ全員からクレームの嵐で、自分を見つめ、考え方、接し方、行動を変えてなんとか切り盛りして五年間続けることができました。それにより自分が変われば周りも変えられるという自信と、社長のような経験が事業を担う意識を高めたのでした。
しかし、いざ意気込んで後継者として入社すると現実は違いました。社員に溶け込む難しさを感じ、また自分の明確な役割も見出せず途方に暮れていた頃、取引先の紹介で同友会と出会い、同じ境遇の方や経営者とハラを割って話しあうことで光が見え始めました。経営指針講座では理念を考え直すことで自分の役割を見出すことができました。まずは、社員との距離を縮めるために個人面談をはじめ、今では気軽に意見を言える雰囲気となり、全体も明るくなったといいます。「自分が変われば周りも変わる」という経験が確実に活きていました。
今後は北陸でもシェアを広げている全国の大手メーカーがライバル。それには地元のもやしメーカーとして大手と違う存在意義が必要です。地の利を活かしたフットワークと使い勝手の良さの再認識、そして安全なものが安心をつくる衛生環境のさらなる徹底に取り組みます。また地域社会活動として、小学生へ食べ物の大切さを伝える食育工場見学を毎年実施しています。
「様々な活動を通じ、三吉ブランドを確立し、地元もやしメーカーとして何ができるか考え行動し、成長を続ける企業に全社員で作りあげ、地域活性化のリーダーとなりたい」と目を輝かせて語る表情は確信に満ちたものでした。取材を通じ、存在意義や身近なところから「三吉」ならぬ「三方よし」の精神を学ぶ貴重な機会でした。