【16.11.01】次代を担う 次代を託す(5)
美しい金沢を全国に発信
前田 陽介 会員 前田印刷㈱ 代表取締役社長
今年の四月、五十五周年を迎える年に代表取締役社長に就任しました。まさか社長に就任することになるとは思っていませんでした。
前田印刷は叔父である前田典千代(現会長)が六十年前に創業しました。三年前に他界した父親が専務として、兄弟が中心になって経営していました。そんな環境の中、大学卒業後、東京の金融関係の会社に営業として十三年間勤務しました。三十五歳になった頃、故郷金沢で仕事をしたいという思いが強くなり、また、中小企業を元気にしたいという思いが重なり、地元で税理士になる道を選びました。その後、税理士事務所に勤務しながら税理士資格取得のため勉強し、平成二十三年に取得しました。税理士となった翌年に税理士事務所の所長が他界したため、税理士事務所の事業を承継し、平成二十四年に独立開業。時を同じくして現会長から「ウチの会社の税理士をやってくれないか」と頼まれました。それは、担当税理士をしながら会社の経営もみてくれないかという意味でした。結果、担当税理士兼役員として携わるようになりました。
会長はワンマンなところがあり、強烈なリーダーシップで会社は伸びましたが、問題は後継者が育っていなかったことでした。会長も高齢になり後継を考えた場合、自分しかいないのではと考えたのだと思います。ただ税理士事務所も経営しているため、印刷のことも全く知らない経営の素人が会社の社長など出来るのかとかなり悩みました。しかし、私しかいないと判断し、受け継ぐ決意をしました。社長就任前から社内にはたくさんの問題がありました。約八十名の社員は近年出入りが激しく、将来に対する不安から退社する社員もいたと思います。
まだ社長就任半年ですが、社員からは後継者を待っていたような感があります。そして会社は今変わりつつあります。お客様のために社員がひとつになり始めています。これから社長として進めていくことは、強みをさらに伸ばし、北陸ナンバーワン企業を目指すこと。当社は「キレイなモノを作る」「ワンストップで印刷を受けられる」という理念と自負心があります。「美しい金沢の良さを全国に発信していく」企業にしたい。そして社員みんなが幸せな人生を歩んでほしい。その思いが日増しに強くなっています。