企業訪問

【17.02.01】次代を担う 次代を託す(8)

新たなファンづくりを目標に

  乙丸屋 久兵衛 会員 乙丸寝具㈱ 代表取締役

 創業二百八十年、元々は武士の裃を作る呉服店でした。江戸時代より代々続く老舗の十二代目として、二〇一五年八月、乙丸寝具㈱社長に就任しました。子供の頃から後継ぎの話など一切なかったのですが、大学卒業後、異業種の企業に四年勤務した後、平成十九年に入社しました。その内情は十代目の伯父の失踪などにより火の車で、多額の借金を背負い込み経営は苦しい状況に追い込まれていました。店舗では昔ながらの対面販売の厳しさも痛感し、妻からは「あなたのお母さんのようにはなれないと思う」と言われ、また自分自身も父のようにはなれないと悩んだ時期もありました。そんな時、東京の私が師匠とするコンサルタントからアドバイスをいただき、専門店に特化した売り方を見つけました。お客様一人ひとりに合わせた寝具を販売するオーダーメイドシステムの導入でした。眠りに悩むお客様に喜んでいただき、リピーター、紹介へと繋がり、顧客第一主義で「お客様の心を開く」「信頼関係を築く」ことを基本に、この繰り返しをコツコツ続けていくことにより、仕事に自信をもてるようになりました。
 昨年は経営指針成文化講座を受講し、十月には中央支部で報告をしました。業界団体では、前年度から本年度への伸長率で賞もいただき、中身の濃い成長できた一年でもありました。良い意味でスタート地点に立ったのだと思います。経営指針を受けたことで気付かされ、やりたいことの順序も明確になり方向性が見えました。方針と計画を考える時、三年後の店舗拡張を目指し、人材の必要性も実感しました。
 十一月の青年部会例会で、同友会の三位一体経営の一つ「共同求人」を、宗守会員、黒崎会員の実践報告から学び、求人をしたいと思いました。今後の課題は人材育成と社員教育です。二〇一七年は数字ばかりを求めるのではなく内容を充実させ、新たなファンづくりを目標として、更なる飛躍を目指し頑張ります! 
 [取材後記]一年半前に「あれから一年」の取材で初めてお会いし、支部例会にも参加できずと話されていましたが、指針講座を受講し、経営方針が明確になり、この一年余りの月日が、乙丸屋さんにとっての転換期だったのではと思いました。

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