【17.12.01】クローズアップ会員企業紹介(4)
「信頼」される人材の育成を地道に
株式会社 フィットアカデミー
代表取締役 都原 聖顕 会員
フィットアカデミーでは現在、金沢市、野々市市、白山市、かほく市、内灘町、津幡町に学習塾20校を展開。この直営教室数は個別指導の学習塾としては県内ナンバーワンです。小中高にわたる生徒数は約1,200名以上。個別学習のみを実施しているため、先生の人数は非常勤だけで250名にのぼります。
もともと家庭教師派遣を手がけていた都原会員が現在塾長を務める高橋昌義さんらとともに学習塾を立ち上げたのは平成17年。生徒の自宅で行われる家庭教師では、先生と生徒の関係が外から見えず、派遣教師の我流の指導がはびこって保護者から期待される成果がなかなか得られにくかったことから、教室を設けて外部の目が行き届く現在のスタイルに思い切って舵を切った格好です。机をはさんで先生1人と生徒1人が向き合う姿が何組もずらりと並ぶ教室の雰囲気は、いわゆる学校教育の現場とは明らかに趣を異にし、熱気に驚かされます。個別指導をうたう同社の他の学習塾にはない強みも感じました。
立ち上げ当初はまったく無名で、生徒集めに苦労したそうですが、1校目の間明校を開校した翌年には早くも2校を新規開校します。遠方から子供を通わせていた保護者から信頼を寄せられ、「自宅の近くに教室を設けてほしい」と要望されたのがきっかけでした。「塾は人に付くと言われています。生徒や保護者と信頼関係を築く重要さをその時、強く認識しました」と都原会員は振り返り、それ以降、「信頼」を業容拡大や人材育成のキーワードにしています。
都原会員は平成24年に石川同友会に入会し、第6期経営指針成文化講座を受講しました。「当時、教室は10校ほどに膨らみ、成長途上の組織の中で連帯感の欠如など複数の課題が浮上していました。なのに、それまでの私は目の前にいる子供たちや保護者にありがとうと言われることだけに関心が向いていた経営者でした。社員の幸せを考えることや地域社会に関わっていくことへの視点に欠けていて、講師に来ていた赤石義博さん(元中小企業家同友会全国協議会会長)から『あんた駄目やね』と叱責されたのを忘れられません」。
自分自身を含め信頼される人間関係を構築するため、都原会員は「教育を通し、社会で活躍し、必要とされる人財を育て、共に育ち社会に貢献します」という経営理念を成文化する一方、毎年、社員共育塾に社員とともに参加し、さらに経営理念を記したクレドを社員全員に持ってもらい、何のために働くのかという経営指針講座で気づかされたことの共有とベクトル合わせに努めています。効果のほどを聞くと、「地味ではありますけど、確実に成長してきています。皆と会議する場で、『社長、それは経営理念に沿っていないのでは』と指摘されると嬉しいものですね。今後も地道に取り組んでいければ」と笑顔で答えてくれました。