企業訪問

【18.01.01】事業承継(19)

社員を大切に育てる「人づくり」から

 \; 玉田工業株式会社
代表取締役 玉田 善明 会員

 玉田工業(株)は、地下タンクや防火水槽の設計・製造のトータルプランナーとして65年の実績がある企業です。主たる事業であるエネルギー施設等の危険物地下貯蔵タンク製造は、東日本大震災の東電福島第一原発事故での汚染水タンク供給において無くてはならない存在となりました。その事業を核として現在では、M&Aによりグループ会社8社を国内外に展開しており、社員500名の規模となっています。
 事業承継の対象は、グループ会社の中で唯一海外拠点であるタマダベトナムの社長を担う玉田会員の長男です。前職が海外勤務だったこともあり、ベトナムで社員75名の会社の経営者として経験を積ませ承継の準備を進めています。
 玉田会員は、社長就任当初から27年余、「人づくり」を念頭に置き、常に2つのことを重視してきました。ひとつは、人づくりの基本としての採用活動で、就任当時の社員50名から、どういう状況でも必ず10名以上毎年採用し続けてきました。
 もう一つは、社員にどんどん経験させて大切に育てる姿勢で、その機会は身内だけでなく全員平等に与えられています。
 その長きに渡った「人づくり」の結果が、特需や変化に応じて事業所・グループ間を連携できる体制づくりに繋がりました。また、M&Aを行っても安心してグループ会社の社長を社員に任せられる組織にできたことも人づくりの結果だと言います。「これからも価値ある企業であり続けるために、ますます変化し挑戦できる事業体になっていく」と語りました。
 今回の取材をとおし、事業承継は単なる後継者を擁立するということではなく、社員ひとりひとりを大切に想い育て、皆が成長していき、そして受け継がれていく「人づくり」の大事さを教えられたように思います。同時に、玉田会員が、「私は経営がヘタクソだ」と言っていましたが、「人づくり」こそ経営力の真価が問われるものだと感じました。

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