【18.09.01】事業承継(27)
食を通した元気な社会づくりを目指して
大生食品工業(株)
代表取締役社長 乗地 茂勝 会員
大生食品工業株式会社は1974年に設立、医療機関や福祉施設への治療用食品の販売と、調理した食品を急速冷却するクックチル方式のセントラルキッチンを導入し介護福祉施設へ食事を提供する事業をしています。
乗地会員は1976年に入社、2001年46歳で社長へ就任しました。承継後間もなく前社長が死去、借金の整理で承継は信用ゼロからのスタートでした。そのような苦労をした乗地会員は「承継には、借金の問題と株の整理と何よりも承継を受ける側のご家族の理解が大切だ」と話します。特に身内以外を後継者にする場合は、借金などの個人保証の引継ぎが余儀なくされます。また、代表者は株の取得と株式上の権限が必要です。これらが解決できなければご家族の理解は得られません。スムーズに承継を行うための問題解決は経営者の使命だと語りました。
乗地会員は社長就任後の17年間で2回の挑戦をしています。現工場社屋の建設とセントラルキッチンを有した給食センターの建設です。建設を提案した際は反対意見もありましたが、社長としての事業決断と断行は今になって良かったと振り返ります。そして相談に乗ってくれた役員と今後の事業承継について腹を割って真剣に話し合う機会を考えています。
同友会へは2003年に入会、入会した支部は当初例会への参加者が少なかったこともあり、全員が出席する例会を目指すため会員を誘い合い、金沢市長が参加する合同例会を開催するなどして、出席率の向上を心がけていました。同友会では昨今10年ビジョンを掲げる取り組みをしています。乗地会員もビジョンとなる次の夢を描いています。大手メーカーには出来ない自分たちの強みを生かし、HACCPの早期取得と個人宅への配食サービスの展開で食事を通した元気の出る社会づくりをすることです。
現在、医療福祉企業のみならず、市民も参加するセミナーを開催しています。そこで皆さんに食事に対する理解を深めて頂き、健康な社会づくりに貢献したいと熱く語りました。