企業訪問

【19.02.01】クローズアップ会員企業訪問(18)

大切にしたのは「共存共栄」

 \; 株式会社北國製紙所 代表取締役社長 澤田 親則 会員

 (株)北國製紙所は、創業64年の北陸で唯一のトイレットペーパー工場で、3代目の後継者として澤田会員が2005年に入社した頃は、原料の古紙を溶かし製品に変えていく「抄造」ができる設備が自慢でした。
 しかし、澤田会員が社長を承継した2014年、事業の核であるその自慢の設備を、材料の古紙不足と設備の老朽化による品質維持と排水の環境保全が厳しく廃止せざるを得ない状況に陥りました。それにより、売上が半分になる事業計画を迫られ、工場、土地を失い、さらに社員3分の2のリストラも余儀なくされました。
 大規模リストラは、労働組合からの強烈な反発に遭い、団体交渉を受けることになりました。「抗議文にサインする際、恐怖で手が震え、当時は字が書けなかった」と言うくらい、当時34歳の澤田会員にとって酷なことでした。 
 団体交渉後は、今まで自社で製造していた紙を業者から仕入れ、後工程の加工に特化した事業として8名で再スタートさせました。特化したことで、経費削減しただけではなく、今まで競合であった同業者から仕入れをして、運搬効率化のために加工のOEMなどを請け負うことで協力関係となり、販路が拡がり、次第に業績が向上していきました。
 澤田会員が同友会に入会したのは2017年4月、ようやく落ち着いて将来について考え始めた頃でした。澤田会員は、例会に積極的に参加し多くの経営者の話を聞くことで、社員の大切さ、そして、何の為に経営しているかを気づけたと言います。 
 販路を拡げるうちに、就労継続支援B型施設と連携する新たなビジネスモデルが出来ました。きっかけは、ある施設にトイレットペーパーの製品仕上げ業務を提案することで大変喜ばれたことでした。澤田会員が「仕事で泣いて感謝されたのは生まれて初めて」とするこの取組みは、始めてから1年が経った現在、全国で約50施設に拡がっています。
 澤田会員が執った「失う決断」は、文字通り沢山を失い、辛い経験を強いられましたが、競合と協力関係を築いたこと、また、地域の人々の安全のために排水の環境を守ったこと、さらに、福祉施設への提案で、「共存共栄」の社会を形成することができました。
 これからは、海外への販路拡大のため活動を進めています。同友会で学び、情報を得て、今までの経営体験を生かして前を向いて進んでいきたいと輝いた表情で意気込みを語りました。

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