【20.04.01】事業承継(45)
社員と共に挑戦「まずは動いてみる!」
株式会社 明月堂
常務取締役 竹田 隼人 会員
同社は、1979年創業で、バームクーヘン・カステラなどの洋菓子を中心に、主にブライダル・お祝い・ご法要のお返しなどのギフト用の菓子製造販売業です。現在は、創業当時社員であった竹田会員の父親が、2004年から社長を承継し現在に至ります。
竹田会員は、大学卒業後、社交ダンス講師という畑違いの道を歩んでいましたが、父親に呼ばれる形で跡継ぎとして2012年に入社しました。入社当初から現在まで製造業務を専門に、職人としての技術をとことん磨いてきました。今では、取扱う製品の中でも最も難易度の高いカステラを作ることを得意としています。
同友会には2015年に橋爪会員からの紹介で入会。初めは同友会活動に足が遠のいていましたが、ひたすらお菓子だけをつくる日々を繰り返す中、次第に後継者として将来の不安を感じるようになり、支部例会や青年部会活動から学び始め、2019年に経営指針講座を受講しました。
受講時は主たる取引先の冠婚葬祭関連の受注が激減する真っただ中でした。厳しい現状から、竹田会員は、経営指針講座の神髄の一つである「自社の強みとはいったい何なのか?」に対する答えに大変困惑しました。「半年間みっちり受講し修了した今でも、その疑問は決して頭から消えることはない」と厳しい表情で言います。
経営指針講座を受講して、事業承継に意識が高まることで、視点を自分から会社のほうへ向けることができるようになり、父親と社長の仕事や経営方針について話し合う機会が増えたと言います。
現在は売上全体の9割を占める特定の法人の仕事から「B to C」にシフトしていく方針で、同社の特徴的な「りんごのバームクーヘン」を中心に、「思い出に残るお菓子作り」がコンセプトの「minori」ブランドを立ち上げ、顧客の発掘と知名度向上を図っています。(7面トピックス参照)
一方、社員は新しい方針に積極的で、付加価値や差別化のための工夫について一緒に試行錯誤を重ね挑戦しています。大切なのは「まずは動いてみること!」と、何度も言葉にする竹田会員。「存在価値」を探す旅の終着点に向けて、確実に進んでいく力強い姿が伺えました。