企業訪問

【20.05.01】クローズアップ会員企業訪問(32)

「会社をよくしたい」を共通目的にV字回復

 \; 株式会社シコウ
専務取締役 藤井 敬士 会員

 (株)シコウは昭和41年に?紫光通信の社名で創業し、AGV(無人搬送車)の製造を主事業に全国展開しています。創業社長の死後M&Aされ、その後経営難により手放され資金繰りが悪化、一時は億単位の負債を抱えました。この危機的状況の中、2016年に現社長である北村氏が代表取締役に就任しました 。

 北村社長は、「自分たちの幸せは、自分で何とかしないといけない。私がしてあげられることは『仕事がし易い環境を作ること』くらいだ」と言い、CADやシステム、PCやデスクなど効率が良くなるものは次々と導入しました。さらに、「当社はお客様を選ぶ権利がある。骨折り損のくたびれ儲けだけはしない。しっかりと利益を出して従業員に還元する」と伝えました。
そして開かれた経営を目指し、経営改革を行います。
 毎月行う経営会議には主任以上と取引銀行やコンサルタントも参加し、収支や資金繰りなど全てオープンにしました。日頃から従業員には「会社の外に出たら経営者だ」と言い、議事録も全員が共有できる仕組みにし、それにより従業員の原価意識が高まりました。また、営業部が主体の工程会議を毎週開催、お客様の声を届ける機会を作り、高付加価値を提供する戦略へと舵を取ります。当初は重い雰囲気でしたが、徐々に部署間の溝がなくなり空気が変わってきました。部署間で議論を交わす時もありますが、共通して「会社を良くしたい」という目的意識がはっきりしています。その結果、昨年の8月に新工場を開設し、純資産1億円を超えるV字回復を成し遂げることができました。

 多額の負債による相続放棄や回復後の純資産増加による株式の相続など、事業承継が課題となっていましたが、2020年2月に株を財団一社が保有する一般社団法人シコウを設立しました。これにより代表は理事会の投票で決定でき、相続問題も発生せず、従業員には公平に社長になれる夢を与える会社となりました。
 同社は「逃げない」をモットーに、挑戦する社風が今のもの作りの原点となっています。競合他社は標準品を重宝する中、オーダーメイドの製品開発に特化し、どのメーカーも対応できない困難な開発案件でも引き受けています。その姿勢が、米経済紙フォーブス ジャパンが主催するスモール・ジャイアンツ アワードのパイオニア賞受賞に繋がりました。県内での受賞は初の快挙で、AGV製造にいち早く取り組み、未来を切り開くユニークさとソフトウェアも含めたトータルシステムを提供している点が評価されました。
 これからも、この強みと社員の和を持って世界に羽ばたいていくことを想像し、とてもワクワクする取材となりました。

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