【21.02.01】事業承継(55)
業界No.1の働き甲斐のある会社へ
株式会社タムラテント
代表取締役社長 田村 裕之 会員
同社は一昨年、創業100周年という記念の年を迎えました。昨年10月に4代目社長に就任した田村会員は「まだまだ解決できていない課題だらけ。自社だけでなく社会に対しても何かをもたらすことができて、ようやく承継したと思える」と、理念実現に向かって、日々奮闘しています。
■強引な行動で社員が続々退社
学生時代からバレーボールに打ち込み、実業団で活躍していた田村青年は、30歳にさしかかり「そろそろ親孝行でもするか」という軽い気持ちで、地元に帰りました。
体育会系で鍛えられたエネルギーを活かし、また同業他社に修行に行った際に、職人さんの「プロフェッショナル」と「厳しさ」を見せつけられ、その雰囲気を意気込んで自社に持ち帰ったのですが、自社が「温(ぬる)い」と感じました。そのギャップに空回りし、自分よがりの強引な行動の結果、社員が続々と退社してしまいました。
■働きやすい社風を追求
社内で孤立する中、藁にもすがる思いで受講したのが同友会の経営指針成文化講座でした。そこでの課題は大きく2つあり、自社を知ること、そして自分が何をしたいのかを明確にすることに向き合いました。その中で、自社が現在まで存続しているのは、リスク分散(1社依存率6%以下)や時流に乗るということだけではなく、会社が社員を大切にし続けてきたからこそだということがわかりました。このことに気づけたおかげで、自分が何を成し遂げたいのかということが明確になりました。
お客様に提供したいことは「快適空間」。では、その快適空間を生み出す社員にとって自社は快適空間なのか?と問題意識を持って考えることで、社内の様々な改善にも取り組み、社員が「辞めなくてもいい」働きやすい社風を作り上げていきました。
■「社員満足度日本一の企業」を実現
4代目社長が目指す「社員満足度日本一の企業」というビジョンの実現こそが、一世紀も続いてなお発展し続ける株式会社タムラテントに脈々と受け継がれる「事業承継」の形です。
縁あってパートナーとなった社員が「ずっと働きたい!」と思える会社、「業界No.1の働き甲斐のある会社」にしていくと力強く発言した田村新社長の、確信に満ちた瞳が印象的でした。