【21.06.01】クローズアップ同友会型企業づくり(37)
人と未来と環境を考え、地球に優しい企業へ
株式会社日本海開発
代表取締役社長 南 純代 会員
■指針講座で理念をブラッシュアップ
同社は能美市で廃棄物の収集運搬及び空き缶やプラスチック類のリサイクル事業を本業としています。
南会員は、当時社長であった父親が病気で倒れたことをきっかけに現在のグループ会社である有限会社カナンに入社しました。その後父親が復帰し、有限会社日本海開発を設立しました。会社では社長の豊富なアィディアを形にする役割を担ってきました。
同友会に入会したのは女性でも経営者としての学びができる場所であること、女性部会で同じ悩みや課題を話せる場所があったからです。先輩女性経営者から多くの学びを得ると共に、南加賀支部での経験も踏まえ、「どんなグループにおいても組織作りは難しいことだが、目的に向かってPDCAサイクルをまわす行動が大切」と体感しました。
3年前に承継し、以前から興味があった経営指針成文化講座(入門編)を受講しました。経営理念はありましたが社内向けで、受講での学びから外部に向けて発信する大切さを知り、よりブラッシュアップすることができました。
■SDGsの取り組み
海洋プラスチックや食品ロス問題が重要視されている今、廃棄物処理という事業を通して環境保全を進めるとともに、地域の人々と協力・連携し地域資源を活用した循環型ネットワークを構築し、未来を担う子供たちに環境問題の大切さを伝えることで、SDGsで掲げる「持続可能な社会」の実現に取り組んでいます。
地域をフィールドとし、「人と未来と環境を考え、地球に優しい企業へ」と掲げた企業理念や事業内容は、行政や地域など多くのステークホルダーから称賛を得るとともに高く評
価されています。学校給食の残さなどから作った有機堆肥を地元の小学生たちとの野菜づくりに使用する取り組みは、2020年のいしかわエコデザイン賞で金賞を受賞しました。
子どもたちの環境意識を育み、市民や子どもたちが自分たちのまちに関心を持つようになったり、気付く機会になったりすることが持続可能な地域づくりに繋がります。子どもたちに将来の地域社会の担い手となってもらうため、学校への環境出前講座や工場見学の受け入れにも力を入れています。
■経営理念の発信が重要
自社のホームページで理念や取り組みを発信することで、理念に共感した人が入社するようになり平均年齢も少しずつ若返り、問い合わせも増えています。組織作りでは経営計画をもとに各階層別にリーダーを置き、目的に向けてミーティングを行い、達成に向けて全社で行動できる企業風土が醸成されてきたと感じています。
コロナ禍の活動で、地域住民から感謝の手紙やメールをもらうことが増えてきました。地域との心のキャッチボールで社員のモチベーションが上がり、エッセンシャルワーカーとしての使命感と誇りを持って働いてくれています。行動や言葉としてフィードバックしてくることが多くなってきたことがとても嬉しく感じています。
取材終了時に「子供たちに今度読んでもらいたい面白い本がある」と紹介する南会員の嬉しそうな表情が印象的でした。