【21.06.01】事業承継(59)
社員と共に 学びながら成長
株式会社武田工業所
代表取締役専務 武田 開成 会員
同社は林業機械、土木・建設機械用アタッチメント等の生産と、各種大型板金加工、熱処理加工で高い信頼を得ています。約150台の機械設備が持つ迅速で高精度な加工能力。人と機械の有機的な結合によって、製品により大きな価値が付与されます。総合力を生かしてつくられた製品が、世界に向かって送り出されています。
■経営指針入門編を受講で変化
昭和21年に祖父が創業し昭和36年に法人設立。先代の急逝により現社長(父)が31歳の時に承継し、今年で60周年を迎えます。武田会員は高校生の時、兄に「会社のことは宜しく!」と言われ、その時はあまり責任の重さなどは感じていませんでした。
2012年小松製作所で基礎を学ぶための修行をし、2017年に同社へ入社しました。同友会へは、経営指針講座を修了した先輩会員が、指針書を見せてくれたことで経営の学びに興味を抱き入会しました。
経営指針入門編を受講し、「仕事は好きか?」「何のために経営するのか?」と今迄考えもしなかった問いに、仕事と自分自身に真摯に向き合うようになりました。また、ユーザーにニーズを聞き、開発部署で取り組めることや『ものづくり』に関するイベントなどをやってみたいと社会性についても深く考えるきっかけとなりました。
■日々研鑽を重ね挑戦
昨年、代表取締役専務となり、現在は社長が承継した年齢と同じ31歳になりました。社長からは「自分は中継ぎだから、とにかく守ってきた」と言われており、必要でないもの、必要なものを選択しながら経営を考えています。1から設計し、加工、塗装まで一貫した生産が強みである半面、すべてを完結できる必要があるのか?も考える必要があり、それにより母体が重たくなることが逆に弱みでもあります。さらに、BCP(事業継続計画)によるリスク分散や、いかにして安定した良品質なものを提供し続けるか、という難しさに日々研鑽を重ね挑戦しています。
■仕事の見える化で一体感
現在社員は70名、そのほとんどが年上です。自分の役割を考え、社員教育については、組織を大切に各部署と連携を取り、共に学びながら成長し続けています。
70代の社員はこれまでの経験やスキルが豊富です。現役として元気でいつまでも頑張ってもらい、若い世代には熟練技術者の高度な加工技術を継承して欲しいと思っています。
「各部署の仕事を見える化し、コミュニケーションを図り一体感を出すことが今後の課題」と希望に満ちた表情で語ってくれました。