【21.09.01】クローズアップ同友会型企業づくり(40)
人を生かす経営は障害者雇用の実践から
株式会社北精テクニカ
代表取締役 村上 龍哉 会員
従業員(派遣社員含む)を43.5人以上雇用すると、労働基準局から障害者雇用の通達(障害者雇用促進法43条第1項)が入り、順守できなければ罰金を支払うことになります。企業はやむなく支払うか、今まで経験のない障害者雇用に直面することになります。
■きっかけは全国総会での学びから
自動車部品製造業の(株)北精テクニカは従業員が法定雇用率を超えていないにも関わらず障害者雇用を実践しています。そのきっかけは、中同協全国総会で当時長崎同友会の障害者委員長だった中村こずえ氏(現長崎同友会 代表理事)との出会いでした。中村氏から、同友会には経営指針の他にも人を生かす経営の実践に障害者雇用の大切さがあることを学び、自社でもできるのではと思い取り組みました。
2年前、就労継続支援B型(※)の雇用から受け入れ、徐々に直接雇用まで実現し、現在は特別支援学校の職場体験実習を通して、来期新卒の特別支援学校生徒の雇用を目指しています。
■雇用を通して生まれた助け合いと感謝
雇用するにあたり、現場改善で表示物を増やし職場の雰囲気を改善することで自社の改善につながりました。また、障害がある方を受け入れたことで社員が親身になって対応することで社内に助け合いの精神が生まれました。
共に勤務するにあたり、内気な彼らに対しこちらからコミュニケーションを意識すると、想像以上に頑張ってくれることでお互いの感謝が生まれ、実際に雇用を受けた彼らも同社のものづくりにやりがいを感じてくれています。職場体験実習に来た生徒は「学校を卒業したら北精テクニカに就職したい」と言ってくれます。
人を生かす経営において障害者雇用が重要なひとつだと村上会員は気づき、もともと障害者雇用は無理だと思っていましたが、思い切って実践したら自社でも出来たことで自信が生まれ、現在はB型を含む4名の雇用に至っています。
■人を生かす経営の実践で同友会型企業へ
村上会員は、コロナ禍を通し精神障害の増加が懸念されていることや、今後私たち経営者が必ず直面する課題に対し、先に実践した一人として他の経営者にも障害者雇用を呼び掛け、「障害者雇用が人を生かす経営として欠かせない大切な要素であり、それが同友会型企業につながる」と熱く語りました 。
帰り際、彼らの働きぶりを撮影したいとお願いすると、お互いにマスクを取り笑顔で語り合う姿を拝見し、同社の企業成長をはっきりと確信した取材でした。