【22.04.01】事業承継(69)
兄弟だからこそ強くいられる
中島メッキ工業株式会社
中島 綾也 会員
メッキ・アルマイト加工を生業とし今年で62年目を迎えます。金属の防錆や硬化などの機能性だけでなく、意匠性も向上させる技術であるメッキ・アルマイト加工を通して、地域の経済成長や産業基盤を支え続けています。
◆大きな目的を共有し続ける大切さ
中島会員は後継者として2017年に同社へ入社しました。幼少期から日常と会社の関係が一体となった環境で過ごしてきたことから、自身が会社の後継者であることを日々意識していました。その後、弟も入社しました。
二人が入社したとき、修行先との経営環境に大きなギャップを感じ、これまで自社は何をやっていたのかと思ったそうです。しかし、過去に文句を言うのはやめ、今日より明日をよくするために力を合わせようと約束しました。
人との関わりに長けた兄と技術力に長けた弟。「お互いが苦手な部分を補完できる。励まし合い一番の理解者になれる。二人だからこそ強くいられる」と口を揃えました。
兄弟で働いていることに、大きなメリットを感じています。意見の食い違いもありますが、二人共常に「よい会社にしたい」という大きな目的に向かっているため、むしろ視野を広げるいい機会になっています。そして、違いを受け止め、ベクトルをすり合わせるために、コミュニケーションをとり続け、常にお互いの状況や想いを共有しています。
◆二人で1を超える
同友会へは2017年に専務である母親からの名義変更で入会しました。「支部や委員会、青年部会活動を通じて多くの会員から学びを得ることが出来ている。事業承継についても青年部会では多く討論されており、その都度自社や自身たちを振り返る機会になっている」と言います。
専務(母親)は「事業再構築補助金への応募も採択され、新しい設備投資も進んでいる。二人がそろっていなければこのチャレンジも成功しなかっただろう。次代を見据え大きくビジョンを描き、兄弟でよい会社を作るために共に事業承継に備えたい。承継は一人にではなく二人に会社という器を承継してほしい」と話しました。
中島会員は「まだまだ現社長や創業者であった祖父には遠く及ばない。しかし、兄弟だからこそ、それぞれの実力が0.6と未熟であったとしても、力を合わせることで1(一人前)以上の力を発揮し、よりよい会社・未来を作っていくことが出来る。二人がそろって会社の中で強みを発揮してくことが私たちの強みになる。事業承継をするその時には少しでもお互いが成長していたい」と力強く語りました。