委員会活動

【10.12.04】青年部会特別例会

見出した一筋の光が経営指針

  青年部会では十二月四日(土)特別例会を開催し八十一名が出席し学びを深めた。 報告者は、林田浩暢氏(資)若竹屋酒造場 社長(中同協企業変革支援P委員/福岡同友会理事)、「若旦那から社員が認める経営者へ」~十四代目後継者として~と題し報告した。以下報告要旨。
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■日本一の酒蔵に
 元禄十二年創業の造り酒屋の跡取りとして生まれた。学生時代に感じていた父へのコンプレックスから、福岡を離れ上京。当時は家業を後継するつもりは全く無かった。夜学に通いながら広告代理店、百貨店で足掛九年のキャリアを積んだ。春休みに百貨店で実家のお酒の試飲会を手伝う機会があり、お客様からお礼状をいただいた。そこで誰かのお役に立てているという実感を得た。広告代理店では感じたことのない気持ちだった。これが家業の「酒の世界」への興味が芽生えるきっかけとなった。若竹屋を「日本一の酒蔵にしよう」という思いを抱いて帰郷する。
■赤字続きで後が無い
 修行として酒造りの追い回しから営業をする中で自分なりに少しずつ業務改善を試みる。当時はいろんな勉強に行かせてもらっていたが、そこで学んだことを会社で実行しようとするが、まさに三日坊主ならぬ、三か月で元に戻る有り様。朝礼で熱弁を振るっても社員は「また若旦那が何か言ってる」という程度だった。変わろうとしない体質、無気力な社風を目の当たりにして、何となく儲かっていない雰囲気を感じていた。父に決算書を見せて欲しいと頼むが相手にされない。ある日、経理の社員に嘘をついて、ついに決算書を見る。赤字続きで三億の債務超過があり、自分が連帯保証人になっていることを知り愕然とする。そして後が無い状況を悟った。
■経営者として本当のスタート
 経営経験などほとんど無い中で本気の挑戦が始まった。幹部・社員は表面上話を聞いてくれるが、実行してくれない。そこで見出した一筋の光が経営指針だった。今振り返ると、経営指針を作り、利益計画を書いた時こそが本当の経営者としてのスタートだった。全ての伝票を調べ、商品の原価率を一つ一つ見て取引先に交渉する。気付いたのは利益計画を立てるには、一番下の経常利益の額を決定することが大切だということ。その為にどれだけ経費を見直すかを下から立てていく。売り上げ目標ありきだと社員はなかなかついてきてくれない。見直しを重ね、現実的な売上げ目標が立ち、この過程で社員も変わってくれた。
■幹部・社員と一緒に分析 
 指針を作成して二年目で約四千万円の経常利益が出た。そして指針の実践で気付いたのは理念・方針をいかに計画に落とし込むかで成否が決まること。その為には幹部・社員と一緒にSWOT分析、ABC分析、PPM分析をして徹底的に自社=商品・サービス・人材を知ることだ。
■一人でなく皆で立て直し
 経営者としての自信もついてきた時、ある会合で先輩から「林田君、頑張ってるね。お父さんも随分頑張ってるもんね」と言われた。何のことか分からず「父がどうかしたんですか」と尋ねると、お父さんが取引き先に「息子が無理を言ってるようで申し訳ない。でも何とか協力をお願いしたい」と頭を下げて廻っているよと聞かされた。この事実を知り、経営者として父を尊敬していなかった自分を恥じ、涙が溢れてきた。自分一人が立て直したのではない。父親、幹部、社員みんなでこの若竹屋を立て直したんだ。その父は今、癌と闘っている。何とか元気になってもらいたい。
 経常利益は売上げから原価・各経費を差し引いた余剰金ではない。企業を未来まで存続させるための 未来存続費用だ。これからもこの気持ちで若竹屋の「未来」を社員みんなで創っていく。

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