委員会活動

【20.10.29】第34回経営者フォーラム

危機に強い企業づくり

 第34回経営者フォーラムは10月29日(木)オンラインで行われ134名が参加しました。
メインテーマを「危機に強い企業づくり」〜コロナ禍の今、改めて同友会の本質を問う〜とし、「人を生かす経営」「同友会らしいBCPづくり」「ウィズコロナ・ポストコロナの経営」の3つ分科会に分かれて学びを深めました。以下分科会記録より。

自己姿勢を見つめ直し、社員と共に未来をひらく

 \; 【第1分科会】
今こそ人を生かす経営  〜逆境は成長のチャンス〜
籔 修弥  氏 株式会社ミル総本社 代表取締役 京都同友会相談役

■報告要旨
 景気にかかわらず経営の基本スタンスは2つあります。それは「変えてはいけないもの」と「変えなければならないもの」。このうち「変えてはいけないもの」とは人間尊重の経営を前提とする経営理念の確立と個性が最大限発揮できる環境づくりであり、経営全体の80%を占める大切なものです。経営者はそのために自己姿勢の確立から始めることが重要です。これらのことを藪会員は樹木に例えわかりやすく報告されていました。これに対し「変えなければならないもの」とは全社一丸での外部環境に合わせた戦略・戦術であるとのことでした。
 「いかに環境が厳しくても、時代の変化に対応して、全身全霊で経営すれば必ず大きな発展を遂げることができるので目的を忘れず共に頑張りましょう」と報告を締められました。
■グループ討論
 「逆境時に変えていくもの・変えてはならないものを、どう取り組んでゆきますか?」をテーマに討論を行いました。ZOOMでのグループ討論となりましたが、このような状況だからこそ経営指針の重要性や人を生かす経営の重要性が再認識できたという意見が多かったと思います。
■座長まとめ
1.人間尊重の経営の基本となる自己姿勢の確立ができているか?
2.人を生かす経営の基本となる経営姿勢の確立ができているか?
3.経営理念の浸透、確立ができているか?
4.経営の基本方針もしっかり確立できているか?
 同友会歴33年、3回目の不況に直面した籔さんが話していたように、この4つを変えていけないものとし確立できていればこの逆境もチャンスに変えることができるのではないでしょうか?
 明日から、この分科会で得たことを最低一つ実践行動し、逆境に負ない会社経営をしていっていただければと思います。
■学んだ点(学びのポイント)・感想
 コロナ禍のこのような時こそ、我々経営者が自己姿勢を見つめなおし、経営指針成文化と実践の重要性と、同友会が目指す人を生かす経営の正しい理解と重要性を学び、今後どのように社員と共に未来を切り開くかを学べたと思います。

経営指針にBCPの考えを取り入れる

 \; 【第2分科会】
「カイシャを止めるな!」〜最後まで諦めない。事業継続計画(BCP)で会社は永続発展する〜
平松 稔 氏 株式会社賀陽技研 代表取締役 岡山同友会

■報告要旨
 (株)賀陽技研は金型の製造などを行っている会社です。岡山県が行っている「BCPブランド化による経営革新」の事業に取り組めば、会社の価値を高められると思い、策定することになったのが、BCPとの出会いだったとのこと。重要業務が復旧できる目標時間を設定し、辞める事業や復旧目標時間に間に合わせるための方法を考えたり、同業者と何かあったらという時のために連携をしておくなど具体的な手法についても話がありました。
 2017年の西日本豪雨災害のときには外注先1社が被災したが、策定してあったBCPで乗り切り、今でも年に数回図上訓練をしているとのこと。
 「同友会で作った経営指針書にBCPの考え方を取り入れるべき」と強調していました。
■グループ討論
 「あなたはカイシャが止まることを想像したことがありますか?」というテーマで討論をしました。経営指針とBCPは共通して、ブレないことが大切という認識をされた方も多く、コロナ禍における行動指針を作り、自社の経営指針に盛り込んで社員と共有していくことが大事という意見や事業を継続させていくためには会社<社員なので、BCP策定を急ぎたいという意見が出ていました。
■座長まとめ
 BCPは単なる防災計画ではなく、捨てる事業などを見極めた事業継続計画にするべきで、顧客から注文が来なくなるなど、当たり前が当たり前じゃなくなるということも想定し、経営指針との親和性も高いので経営指針にBCPの考えを必ず取り入れるべきです。
■学んだ点(学びのポイント)・感想
 私自身は建設業で、災害の時にはインフラの復旧対応にあたる立場なので、業種によって考え方の異なるBCPが必要になるということを学びました。

バックキャスティングアプローチを実践

 \; 【第3分科会】
ウィズコロナ、ポストコロナの経営に欠かせないSDGsの視点と自社への紐づけ
平野 啓三 氏 株式会社平野 取締役会長 愛媛同友会理事 環境経営委員長 前代表理事

■報告要旨
 平野氏は、愛媛県今治市で薬局7店舗を経営しています。同友会には1989年に入会、2009年には経営指針に環境問題への取り組みを盛り込みました。以来今日まで、社員一丸となって環境経営を実践、2018年からはSDGsへの取り組みを開始しました。その内容について具体的かつ詳細な事例と考え方について報告しました。
 具体的には、全社員が入社時にECO検定を受けることや新入社員をSDGs担当にするなど社員共育や意識改革に力を注いできました。またSDGsを目指す上での重要な視点として、バックキャスティングアプローチ(目標から逆算して考える事)やムーンショット(成功すれば大きなインパクトのある目標)の重要性を説きました。
■グループ討論
 10年後のあるべき姿を思い描き、そのために自社はなにをすべきか?という討論テーマでSDGsについて話し合いましたが、具体的な取組をしている会員企業は少ない印象でした。ただバックキャスティングアプローチについて具体的に考えてみることやSDGsの重要性を理解する上では有意義な時間となりました。討論の中で「シンク・グローバリー アクト・ローカリ―」という地球規模で考え、地域で行動するという意味の言葉がとても印象に残りました。
■座長まとめ
 まだまだ社会全体に行き渡っていないSDGsの重要性を理解し、自分たちに何が出来るのかを考える良い機会となりました。改善策の積み上げであるフォアキャスティングは気候変動のような大きな問題では間に合いません。バックキャスティングアプローチをこれからは実践していきましょう。
■学んだ点(学びのポイント)・感想
 企業にとってSDGsの17のゴールはそれ自体が顧客需要であり、ビジネスのチャンスやヒント。また事業戦略や指針であり、リスクチェックの項目でもあります。SDGsに取り組む企業は成長し、市場シェアを高めるほど、世界がより良くなっていきます。「シンク・グローバリー アクト・ローカリ―」の視点で考えていきたいと思います。

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