【23.10.30】第36回経営者フォーラム 開催報告
メインテーマ「変革への挑戦」
10月30日(月)第36回経営者フォーラムをフラワーガーデンで開催し、約120名が参加しました。メインテーマは「変革への挑戦」とし、基調報告の後、3つの分科会に分かれ学びを深めました。以下、各報告要旨
■基調報告「Let’s try! 人を生かす経営で未来を切り拓こう!」
報告者 中野 愛一郎 氏(株)
イベント21 代表取締役社長
奈良同友会副代表理事・共同求人委員長
奈良県で父親から廃業寸前のイベント用品レンタル会社を引き継ぎました。当時拡大期にあったインターネットに着目し、その特性を活かして、大手顧客からも検索される仕組みを構築し、レンタル業を県内のみならず全国展開していき急拡大を続けています。
社長になった当初から採用活動を大切にし、自社の理念に賛同してくれた社員のみを採用しています。社員が増えた現在でも一対一の個人面談を一年間かけて行っています。それが急拡大を支えているとのこと。コロナ禍下においては、イベントそのものが感染拡大防止の為にことごとく中止になり、売り上げが激減しましたが、全社員に継続雇用を約束しました。その中でこれまで積み上げてきた自分達の強みを活かし、素早く感染対策対応のレンタル用品をレンタルしていき、苦境をバネにしてさらなる発展を続けています。
■第1分科会「経営者の変革」〜社員と共に夢を叶える会社づくりを目指して〜
報告者 石川 祐輔 氏
(株)カナマル 代表取締役/愛知同友会
石川氏は、8年間のサラリーマン生活を経て、(株)カナマルに入社。しかし、会社は危機に瀕し、その中での急な事業継承に悩みます。ちょうどその頃、同友会と出会い、「必ずよい会社にする!」という信念で学び、志願して役員になるなど、同友会と経営を不離一体とする目標を掲げます。それにもかかわらず、社内では大きなピンチが続発し、社員の「もっと我々と向き合って!」との声に直面します。この一言で、石川氏は周りを変えようとするのではなく、「自分が変わるべきだ」という自己変革の大切さに気付き、社員と共に夢を実現する会社を築くことを決意しました。その後の「社長変わったね」という幹部の言葉は今の石川氏の原動力になっています。
グループ討論では、「経営者が本当にやるべきことは何か」というテーマで、腹を割った議論が行われ、経営者のやるべきこととは「社員と一緒に会社を維持し発展させること」というまとめになりました。
■第2分科会「新時代の産学連携の在り方」〜経済・環境・社会の調和を図る思考〜
講師 福田 崇之 氏
金沢工業大学 産学連携局次長
第2分科会では、金沢工業大学の産学連携次長の福田崇之氏が「新時代の産学連携の在り方」をテーマに講演しました。金沢工業大学は、約7,000人の学生と専門教員350人の在籍を強みにして幅広い連携実績があり、多くのプロジェクトを動かしているとのことでした。
ワークショップでは、「金沢工業大学との連携によってどのような地域づくりを実現したいですか?」というテーマでブレインストーミングを行いました。各グループからは教育に焦点を当てたアイデアが発表されました。「中学2年生の旅」をテーマにしたものや「木」(県産材)を活用した環境と健康に関する木育事業、また教育格差と地域格差を克服するために「仮想通貨」を活用して、大人と子供の立場を逆転させた「学びの遊園地」などの提案がありました。これらのアイデアから、企業と子供たちが生きる力を持ち、産学連携で最終的なゴール「皆がHappy」を実現するために協力していくことを確認しました。
■見学分科会「採用戦略と働き方改革」さくらホームグループ/東洋警備保障(株)
さくらホームグループでは、DXについて標準化、自動化、可視化と3つの活用事例が報告されました(写真)。従業員の誰が担当しても成果や時間にバラつきがないことを目的にしたDXによる標準化はどこの会社でも是非取り入れたい仕組みです。自動化では社内のNG/GOODな行動を社内AI信長くんが自動で検知して叱ってくれたり、褒めてくれるようになっており、不思議と信長くんに言われるとストレスが小さくなるというのは納得感がありました。また、社内のあらゆるデータをリアルタイムで可視化しており、社員のモチベーションや助け合う風土にも役立てています。これらDXの取組の目的は、「人がやるべき仕事に集中できる環境を整えること」であり、その結果、生産性向上→粗利UP→社員への還元に繋げています。
東洋警備保障(株)では、橋本峰之会員が採用と働き方改革について報告しました。コロナ禍において完全燃焼できなかった運動部の学生に焦点を当て、アスリート枠での採用を開始しました。その結果、3年で10名の採用に成功しています。新社屋に併設されたジムは、広告としても効果的で実際に採用の応募にも繋がっています。ジム内では、社員同士の交流が増え、アスリート社員からの指導により社員の健康意識も高まっています。直行直帰が多い中でも、社員が事務所に戻る回数を増やす効果もあり、これにより帰属意識の向上にも寄与しています。
各社企業訪問後のバス車内では、フィードバックの共有と直接の質疑応答も活発に行われ、有意義な時間となりました。